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蟻の菜園 ―アントガーデン―

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婚活サイトを利用した連続不審死事件に関与したとして、殺人容疑がかかる円藤冬香。しかし冬香には完璧なアリバイがあり、共犯者の影も見当たらなかった。並外れた美貌をもつ冬香の人生と犯行動機に興味を抱いた週刊誌ライターの由美は、大手メディアを向こうに回して事件を追いはじめる。数奇な運命を辿る美女の過去を追って、由美は千葉・房総から福井・東尋坊へ。

柚月裕子さんの本です。
 
久々の柚月さん。やっぱり麻子さんより裕子さんの方が個人的には好み。
 
それにしても・・・・何とやりきれない話だったでしょう。。
女の子が受ける男親からの虐待って、暴力の種類が体も心もずたずたにするものが本当に多くて・・・(小説では本当に多い)
成長と共に単純な暴力だけではなくなるのだろうと思っていたけれど、案の定。
父親がとにかくどうしようもなくて、子供には何の罪もなくて。。。
 
子供は親を選べないとは言うけれど、最終的に自分自身が犯罪に手を染めるしかなくなる人生なんて・・・これが定められた運命だとしたら、あまりにも酷過ぎる・・・
 
見た目には美しく、何のために結婚詐欺をしたのか、理由が見えない容疑者。
その容疑者を追い始めたライターの由美サイドの話と、ある姉妹の視点でストーリーが展開していきます。
 
真相が見えてくるにつれ、犯罪だったとしても、やっぱり姉妹を救おうと思った人達を一概には責められないなと思うし、犯罪に手を染める事になってしまった姉妹に対しても、元をただせば生い立ちが原因な訳で・・・
誰が悪かったのか、差しのべられた手があったのに、完全には救う事ができなかった事実が辛くて・・・
 
柚月さんの筆力はぐいぐい引きこんでいくので、辛い、でも気になるとページをめくる手が止まりませんでした。
 
せめて罪を償った後の姉妹に光がさすことを祈るばかりです。
(4点)