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最後の証人

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元検察官の佐方貞人は、刑事事件を専門に扱うやり手弁護士だ。そんな佐方の許に、かつて在籍した地検の所在地で起きた殺人事件の弁護依頼が舞い込む。高層ホテルの一室で起きた刺殺事件。物的証拠、状況証拠ともに、依頼人が犯人であることを示していた。男女間の愛憎のもつれが引き起こした悲劇。世間やマスコミの誰もが、依頼人に勝ち目はないと見ていた。しかし佐方の、本筋を見抜くプロの勘は、これは単純な事件ではないと告げていた。敗戦必至の弁護を引き受けた佐方に、果たして勝算はあるのか。やがて裁判は、誰もが予想しなかった驚くべき展開をみせる…。


柚月裕子さんの本です。
 
柚月さんと言えば、「第7回 このミステリーがすごい!」大賞を受賞した『臨床真理』な訳ですが、あまりにも予想通りの犯人にある意味で度肝を抜かれる展開だったので、印象に残った作品でした。
 
そしてこの2作目。
前作が前作だっただけに、全然期待せずに読みました。
 
あれ?
上手くなってる?
 
と、まず思いました。
何より文章がとても読みやすい。
そして事故で一人息子を失った夫婦の決意した復讐劇という話と、とある事件の裁判を担当する弁護士の視点から展開される物語には、いつの間にか気持ちを鷲掴みされているのに気付きました。
 
しいて言うならば、やり手弁護士の過去や人物像をもっと深く掘り下げて欲しかったかな、とは思います。
そう思うくらい、夫婦の絶望と悲しみ、復讐に至るまでの心の動きや葛藤の表現がリアルで秀逸だったから。
 
裁判モノに全く詳しくない私は違和感なく読めてしまったのだけれども、詳しい人から見たら違和感がありまくりの設定らしいですが・・・
 
まあそれは置いておいたとしても、「臨床真理」に比べたら数倍上手くなったし、読ませる作品だと思います!
柚月さん、今後もどんどん伸びていきそうな予感。
今後に期待します。