No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

よもつひらさか

イメージ 1
 
現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。ちょうど立ちくらみをおぼえた私は、青年の差し出すなまぬるい水を飲み干し…。一人でこの坂を歩いていると、死者に会うことがあるという不気味な言い伝えを描く表題作ほか、戦慄と恐怖の異世界を繊細に紡ぎ出す全12篇のホラー短編集。


今邑彩さんの本です。

ホラー、ミステリー…
ジャンルもストーリーもバラバラだけど、たっぷり楽しませてくれる短編集でした。

とにかく読みやすい文章と、短編という短い文章の中でも、しっかり見せてくれる驚きの真相は、外れ無し!


見知らぬあなた
ハーフ・アンド・ハーフ
穴二つ
よもつひらさか


が特に面白かったです。
薄気味悪さ、恐ろしさ、不思議な気持ち…
そんなおどろおどろしい雰囲気の物語なのに、そこは今邑さん、しっかり読ませます。

主に勘違いや思い込み、すれ違いから生じたズレが、とんでもない不幸な結果をまねいている…そんな話が多くて、ちょっとでも他人を信じる心があったら違った結末になったのではないでしょうか?
 
中盤からラストにかけて沸き起こる「嫌な予感」は大体当たります(笑)
そして最後にぞっとする。上手い!

1999年までの作品ですが、ネットで知り合ったメール友達やストーカーなど、時代の最先端を描いているのも注目です。

ああ、面白かった!