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エムブリヲ奇譚

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社寺参詣や湯治のため庶民は諸国を旅するようになった。旅人たちは各地の案内をする道中記を手に名所旧跡を訪ね歩く。『道中旅鏡』の作者・和泉蝋庵はどんな本でも紹介されていない土地を求め、風光明媚な温泉や古刹の噂を聞いては旅をしていた。しかし実際にそれらがあった試しはない。その理由は蝋庵の迷い癖にある。仲間とともに辿りつく場所は、極楽のごとき温泉地かこの世の地獄か。

山白朝子さんの本です。
 
乙○さんの別名義、「黒」の方ですね。
 
個人的には「白」の中田永一さんのファンの私ですが、以前読んだ山白さんの作品はそんなにいいと思わなかったというか、単純に好みではなかったという感じでしょうか。
 
しかし久々に読んでみれば、意外とすっと世界感に入って行けて、ラストでは少しばかり温かい気持ちにさえなり、意外でした。
 
ところどころ、グロイ描写のある作品もあるものの、ラストの話が特に好き。
 
ただ歩いているだけなのに奇怪な場所に辿りついてしまう蝋庵先生の不思議な魅力に救われるような本でした。
 
この作品、続編も出たんですね。機会があったら読んでみたいと思います。
(4点)