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天の梯 みをつくし料理帖

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『食は、人の天なり』――医師・源斉の言葉に触れ、料理人として自らの行く末に決意を固めた澪。どのような料理人を目指し、どんな料理を作り続けることを願うのか。澪の心星は、揺らぐことなく頭上に瞬いていた。その一方で、吉原のあさひ太夫こと幼馴染みの野江の身請けについて懊悩する日々。四千両を捻出し、野江を身請けすることは叶うのか!?厚い雲を抜け、仰ぎ見る蒼天の美しさとは!?


高田郁さんの「みをつくし料理帖」シリーズ最終巻。
 
読みたいけど読み終えてしまうのが惜しくて、でも予約していたものがようやく手元にやってきて、一話一話を慈しむように読みましたよ。
 
あー終わってしまいましたね。
 
このシリーズ、全てにおいて自分の評価は☆5つです。一度もつまらないと思ったことがないです。
そしてシリーズ前半は、澪に何度も苦難や試練が押し寄せて、不幸な事ばかりが起こっていましたね。
読んでいて辛くなるほどで、それでも決して前を向く事を辞めない澪にどれだけ力をもらってきたことか・・・。
 
前巻くらいから、ご寮さんのご結婚であるとか、息子の佐平衛が戻ってきたりだとか、だんだんと吉兆が訪れ始めていて、あとは澪自身の進むべく道、野江の身請け、つる屋に携わった皆との別れ、源斉先生との淡い恋の行方・・・などなど気になるところでした。
 
特に野江の身請金は莫大過ぎて、少しずつ商いでお金を稼ぐことができるようになってきた澪でも、到底夢のまた夢のような状況。一体どう物語は終息していくのだろう?と思っていたのですが・・・
 
いやもう、見事なほど。あっぱれとしか言いようがないほど、今までの伏線を全て回収し、誰もが納得のいく形で完結を迎えたと思います。
 
又次がいない、ということだけはやっぱり悲しいですけれど・・・小松原さまのさりげない助けがちらほらと出てきたのも嬉しかったですが・・・
 
(ネタバレ含みます)
何より、野江があさひ太夫から解放されるラスト、そして源斉先生が澪への何年越しにも及ぶ想いを打ち明ける誠実なシーン。
涙が出てきます。
 
私は澪が源斉先生に対して接するのは、医者として、自分の進むべき道をそっと導いてくれる師として仰いでいる感じなのかなあと勝手に思っていたのですが・・・小松原さまへの気持ちにはちゃんと区切りをつけられていたのだなあと。小松原さまとのちょっとした再会のシーン(再会と言っていいのか分からないほどの交差ですが)で伝わって来ました。
 
登場人物のその後を描いた番外編も書いてくれるようなあとがきもありましたし、個人的にはとてもふきのその後が気になります。
 
巻末の料理番付に東西の料理屋の頂点の名前が書かれています。
これを見て、その後の幸せな生活が目に見えるようでファンにはたまらないおまけになっていましたね。
 
いずれ全巻手元に揃えて読み返したいな。
とてもとても素晴らしい物語でした。
(5点)