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風神秘抄

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東武者の家に生まれた十六歳の草十郎は、腕は立つものの人とまじわることが苦手で、一人野山で笛を吹くことが多かった。平安末期、平治の乱に源氏方として加わり、源氏の御曹司、義平を将として慕ったのもつかの間、敗走し京から落ち延びる途中で、草十郎は義平の弟、幼い源頼朝を助けて、一行から脱落する。そして草十郎が再び京に足を踏み入れた時には、義平は、獄門に首をさらされていた。絶望したそのとき、草十郎は、六条河原で死者の魂鎮めの舞を舞う少女、糸世に目を奪われる。彼女の舞には、不思議な力があった。引き寄せられるように、自分も笛を吹き始める草十郎。舞と笛は初めて出会い、光り輝く花吹雪がそそぎ、二人は互いに惹かれあう。だが、その場に、死者の魂を送り生者の運命をも変えうる強大な力が生じたことを、真に理解したのは糸世だけだった。ともに生きられる道をさぐる草十郎と糸世。二人の特異な力に気づき、自分の寿命を延ばすために利用しようとする時の上皇後白河。一方草十郎は、自分には笛の力だけでなく、「鳥の王」と言葉を交わすことができる異能が備わっていることに気づく…。


荻原規子さんの本です。
 
「RDG」シリーズの4巻から借りられている状態のようで、続きが読めない。
ならば別の荻原さんの本を読もう、と思い児童書のコーナーへ。
妙に分厚い2冊を借りてきまして、そのうちの1冊でした。
 
何だか聞いた事のある名前が出ているぞ、と思ったら勾玉三部作に通じる話でもあったようです。
 
ただ、今回は非常に楽しめました!
 
平清盛の時代は全く興味がなくて全然詳しくないのですが(興味があると文献を読みあさったりするのですが)、実際にあった歴史上の出来事や人物が登場する中で、神にも通じる舞を踊る少女と笛を吹く少年の魅力と、鳥の王との絡みが中世的な魅力を持ち、とても面白く読む事ができました。
 
こういう作品があって、「西の善き魔女」や「RDG」に繋がっているんだなあと思ったりして、感慨深いです。
 
とにかく魅力的だったのは、糸世。
草十郎の事を思う故、いじましいほどの態度を見せます。これが可愛すぎてキュンキュンする!
そして糸世の事を好きだと自覚してからの草十郎のひたむきさ。
もう萌え過ぎてヤバかったです(笑)
 
ひとたびお気に入りのキャラクターが登場すると、小説というのは二倍にも三倍にも面白くなるものです。
しいて難を言うなら、少々分厚くてなかなか読み終わらなかった事でしょうか。
 
それでも大変面白く読む事ができたので、満足です。
鳥の王と鳥の世界が存在するということも、想像しただけでワクワクしました。