若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一が真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。そして、次第に二人は強く惹（ひ）かれ合うようになり……。
監督：李 相日
原作：吉田 修一「悪人」
地上波で放送していたものを録画していて、ようやく観ました。
朝から見ていたのですが、朝から見るものではないですね。内容が重いので。
この映画が公開されている時は、まだ原作を読んでいませんでした。
深津絵里がモントリオール映画祭で最優秀女優賞を受賞した事でも話題になっていた映画でしたね。
何となく観る機会がなくてそのままになっていて、原作を読んだら凄く印象に残る作品だったので、観てみたいなあと思っていたのです。
流石、最優秀賞を受賞しただけあり、深津絵里は上手かったです。
そして毎度ながら、柄本明さんは本当に上手いです。
観る映画観る映画、柄本さんが脇役で出ている気がするのですが、この人はメインの役柄でなくても、どうしてこんなに強く印象に残るのでしょうね。
私、岡田君が全く別人に見えてました。
凄いむっかつく役柄なんですけど、金持ちのボンボンで、お気楽大学生、軽いノリの嫌な奴、という役柄が見事はまってました。髪型とか服装のせいで、岡田君だと思って観ていなかったくらいです(笑)
また、満島ひかりはいつもとはまた違った役周りですが、好きな男の子に邪険に扱われ、惨めな気分でいる時に全く好きではない男に同情されて憤慨しているシーン、うわームカつく女ー！って思うのですが、凄い印象に残るんですよね。本当この人凄い。
個人的に、岡田君の友人役の永山絢斗君が、あまり台詞のない役だったのに存在感がありました。
唯一といって良いほど、希望の光を見出してくれる存在だったのではないかと。
ただ、映画としては・・・
被害者と加害者の身内（樹木さんと柄本さん）にスポットをあて、その合間に妻夫木君と深津絵里のシーンを挟んでいる感じなので、原作で描かれていた被害者の人物像（友人達から見た存在）や、細かな部分がカットされてしまっていて残念でした。
まあ、映像化しようとするとやはり削るしかない所なのかな。
内容としてはとにかく重く、嫌な人間ばかりが出てきてげんなりしてしまうのですが、本当の「悪人」は誰だったのか？と考えさせられる映画でした。
（4点）
