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アントキノイノチ

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高校時代、とある事件がきっかけで心を閉ざしてしまった永島杏平は、遺品整理業を父親に紹介してもらい働き始める。そこで出会った久保田ゆきや仕事仲間と共に過ごすうちに、杏平は少しずつ心を開き始める。そんなある日、ゆきは衝撃的な過去を杏平に告白し、彼の前から姿を消してしまう。


監督:瀬々敬久


あの、「余命1ヶ月の花嫁」のスタッフが贈る感動作、だそうです。
 
岡田将生くんは、「天然コケッコー」で知ってからのファンなのですが、榮倉奈々がどうしても苦手な私。
自ら観に行く気にはならない映画かな、と思っていたのですが、母が珍しく観てみたいと言うので、じゃあ観てみるかと、足を運んでみました。
 
個人的には・・・・全く泣きませんでした。
ただ、可もなく不可もなく・・・という印象でしょうか。
 
まず、良かった点から。
 
主演の岡田くん、脇役の染谷将太君と柄本さん、原田泰造の好演。
まず染谷将太君。
最近注目している子なのですが、冒頭にちょろっと出てくるだけの脇役です。
屈折した思いを抱えた難しい役どころ。
教室にいるシーン、一言もしゃべらないのに、表情だけで確かに演技をしている。
そして、衝撃のあのシーン。
思わず目を覆いたくなるような、突然の展開。
しかし、素晴らしかったです。何でこの人は、こんなに存在感があるのかなあ。
 
唯一目を潤ませてくれたのは、柄本さんのワンシーン。
柄本さんも本当に少ししか登場しません。
亡くなった奥さんを思い、むせび泣くシーン。
圧巻の演技でした。
全体的に涙を流せ、泣け、感動しろ、とごり押し気味の内容だった中で、唯一もらい泣きしそうでした。
 
篤姫】や【龍馬伝】でも名演技を魅せてくれた原田泰造氏。
やっぱりこの人、俳優をやるべき。
凄い存在感あるよなあ。押しつけがましくなくて、自然。
 
そして何より素晴らしかったのが、岡田くんです。
吃音持ちで、そううつ病を患っていた過去を持ち、何処か自信なさげで心を壊してしまった難しい役どころを見事に演じています。
特に過去の高校時代のシーンの一つ一つ。
おどおどと人の顔色を窺いながらうっ屈を抱え、衝撃的な事件を挟み、最後に壊れてしまうまで――
 
今まで見てきた岡田くんの出演作品の中で、今までのような役はなかった気がするのですが。
長身の岡田くんが猫背気味におどおどと歩く姿だとか、言葉を発する事がなかなかできない所だとか、あまりにもリアル過ぎて、昔苛められっ子だったと告白していたみたいですが、妙に納得し心配になってしまうほど。
将来、もっともっと良い俳優になるよねこの子は。
本当に上手かったし、惹きつけられました。
 
「遺品整理」の仕事、と言えば2時間ドラマの高畑さんの印象が強いのですけど、なかなかだったかな。
ゴキブリ・うじ虫大量発生とか。残された家具・家電・写真などなど。
個人的にはこっちの仕事面をもうちょっとクローズアップしてくれた方が良かったのですが。
ただ、匂いが凄いはずなのに、全然辛そうにしていないのは不自然だったかも。
ベテランの人は慣れているにしても、若い二人はもうちょっとそれらしくしても良かったのでは?


で、不満点。
※ネタバレ含むので注意※
 
榮倉奈々の演技、やっぱり私ダメみたいです・・・。
昔に比べたら大分良くなったと思いますが、どうも棒読みに聞こえて仕方ないのです・・・。
 
あとは脚本のせいだろうけど、あんな過去を抱えている人があんなことする?と疑問に思う事が多々。
あと、こんな長身の女の子でもそういう事ってあるのかなあ?とふと違和感。
あり得なくはないのだろうけれど、想像しにくいかも・・・。
男所帯のこの職場にいるのも疑問だったり。
 
唐突に仕事を辞め、介護の仕事に就いているのも突然過ぎて不自然。
 
そしてあのラストは何・・・・?!
何やら原作とは違うようで(ほっとしました)。
 
あれだけ命を大切にしよう、これから生きようという雰囲気を出しておいて、あの結末はないでしょ・・・。
正直、海のシーンで終わりで良かったんじゃないかなあ。
せっかくそれなりに満足だったかも、と思っていたのに、あのラストで呆気に取られてしまいました。
 
シーンを盛り上げようとやたら大音量のBGMが入る事がうるさく感じられ、エンディング曲も映画にあまり合っていなかったような気が私にはしてしまいました。
上映時間も結構長いので、ラストシーンは削って完結にまとめた方が、命の大切さを感じられたのに。
 
やっぱり誰かが死ぬシーンがないと感動させられないんですかね・・・。
あんな死に方しても、血一つ流さないのでしょうか???
 
うーん、悪いというほど悪くはないけど、好みの問題かな。
母は割と良かったと言っていたのですが、私にはちょっと合わなかったようです。
 
この映画で年内最後かなあ。
また来年も良い映画に出会えますように。