No-music.No-life

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ミュージック・ブレス・ユー!!

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オケタニアザミは「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」な高校3年生。髪は赤く染め、目にはメガネ、歯にはカラフルな矯正器。数学が苦手で追試や補講の連続、進路は何一つ決まらないぐだぐだの日常を支えるのは、パンクロックだった!超低空飛行でとにかくイケてない、でも振り返ってみればいとおしい日々。野間文芸新人賞受賞、青春小説の新たな金字塔として絶賛された名作がついに文庫化。


津村記久子さんの本です。
 
津村さんは友人に薦められて2冊くらい読んで、自分には合わないと感じて最近は全く読んでいなかったのですが・・・。
この本だけは、タイトルから音楽の話だ!と分かるようなものだったので、ずっと読んでみたいと思っていました。
たまたま図書館で文庫版があったので借りてみました。


読み始め、読み終えてみて思うのは、やはりこの独特の津村さんの紡ぎ出す文章の読みにくさ。
まあこれは、好き嫌いがある独特な文章でもあるので、好きな人は好きだと思うのだけど、整然としていなくて雑然とし過ぎている感じがあって、私は読みにくさを感じて苦手なんですよね。
 
ただ、この高校三年生・受験生と言う不安定で将来が見えない感じ、焦燥感を抱くよりも何も見えない虚無感っていうんでしょうか?
そういう混沌とした感情が、津村さんが紡ぎ出す文章とマッチしていて逆に良かったなあとも思うのですよね。
 
子供の頃に多分、病気と診断されるような精神的な問題が発覚したらしく、何処となく人と違う変わり者である主人公。
自分のバンドが解散し、少ないながらもしっかりと他人とコミュニケーションを取れる魅力はあるのに、何処か浮いている感じ。
音楽を聞いていない時なんてないくらい、生活の一部に音楽が染みついている人間。
 
思えば私も、高校の頃は必ず音楽が傍にないとダメだったかも、と思いだします。
高校生の頃にSyrup16gとか聴いてたり、GRAPEVINE大好きっ子だったので、そのあたりの音楽に芽生えて、ひたすらヒット曲とは無縁な曲ばかり聴いていたなあと。
 
しかしいつからか、音楽がただのBGMになり下がり、時々うるさく感じてしまうようにもなってきて。
勿論、未だに音楽が好きでライブに行ったりCDも買うけれど。
今は本がない方が落ちつかないくらい。
これは、大人になってしまったということなのかな・・・。
 
将来の事が見えなくても、少しずつでも前に前に進んで行くようなラストで好感が持てました。
 
解説はロッキング・オンの兵庫さん。
興味がある方はぜひ読んでみてください。