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脇役スタンド・バイ・ミー

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鳥になりたいと祈る老女。彼女に何をしてあげられるだろうか…穏やかに暮らす“主役”の生活に忍びこむ、ミステリアスな“脇役”たち。騒音とともに消えた女、真夜中に廃屋でひとり眠る少女、前世を占えると告げる美女―すべての謎が解決したとき、あなたの胸に浮かび上がる“脇役”の本当の姿とは?いつもは主人公のあなたも、他人の人生では、脇役。傍らに立ち、手を差し伸べるか、あるいは―。再読必至の連作ミステリー。

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沢村凛さんの本です。
 
初読の作家さん。
多分書店で見かけて目にしていた名前だったのかもしれませんが、図書館にあったので何となくタイトルに惹かれて(笑)借りてみました。脇役とか底辺とか地味とかいう言葉に弱いのです。自分がそうだから。
 
第一話 鳥類憧憬
第二話 迷ったときは
第三話 聴覚の逆襲
第四話 裏土間
第五話 人事マン
第六話 前世の因縁
最終話 脇役の不在

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第一話を読んだ時には、30代も半ばの独身女性のネガティブな日常を描いた作品なのか・・・これは面白くないかも、と沢村さんに対する予備知識の全くない状態から読み進めていたのですが、まさかの急展開にびっくりしたと同時に、二話目からは日常ミステリ展開が普通に続いたので、俄然面白くなってきたのでした。
 
特に第三話はテンポも読後感も良く、そして謎解きミステリとしても楽しめる作品で良かったですし、第四話は事件なのかと主人公と一緒にハラハラドキドキして、結末にほっとさせられたり。
 
癖がなくとても読みやすい文章。
そしてさらっとミステリが織り込まれたストーリーは非常に私好みでした。
 
ただ、書き下ろしの最終話で「え!そっちの展開ですか!?」とちょっと思ってしまったのですよね。
これは逆にきちんと実在の人物として話を終えてくれた方がしっくりきたような。
この結末は結末で、悪くはないのだけども・・・。
 
全然期待していなくて、暇潰し程度に読もうと思っていた失礼な私でしたが、思いがけず素敵な出会いの一冊でございました。
他の作品も読んでみようと思います。