No-music.No-life

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お別れの音

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すぐ隣で、ずっと遠くで、耳をすませばきっと聞こえる。
妊娠をきっかけに会社を辞めることになった、ほとんど口をきいたことのない同僚が最後の日に告げた言葉。会社の近くで働く靴職人の青年がなぜか気になってしまうわたしのとった行動。記憶にない男性からのメールがわたしの心に起こす小さな波。日常の中にあるさまざまな「お別れ」の瞬間を鮮やかに切り取った6篇。芥川賞作家にして史上最年少の川端賞作家がすくいあげる6つの小さな奇跡。


青山七恵さんの本です。
 
青山さん、文章が丁寧でしっとりしているのと雰囲気が好きで、好きな作家さんの一人なんですが。
あまり期待せず読んだら、期待していなかった通りの可もなく不可もなく、という感じだった一冊でした。
 
お互いに顔は知っている顔見知りなのに、名前もどんな人なのかも、何をしていて何処に住んでいて、いくつくらいなのかも分からないような、「毎日顔を見合わせる」だけの人って、考えてみれば結構いますよね。
 
例えば、通勤の電車の中。
毎日同じ場所に座っていると、おのずと他の乗客も固定の位置にいることが多かったり。
顔だけ知っているのに、気付けば相手のことを何も知らない。
 
知り合いの知り合い、とか。
名前だけは知っているのに顔は知らないとか。
 
そういう人たちとの微妙な距離感、近からず遠からずのこの曖昧な感じ。
 
そんな人物達とのちょっとした日常の距離感を描いた、という感じですかね。
嫌いじゃないんだけど、かと言って購入してまで読みたいかと言われると微妙なところでもあって。
 
個人的に、青山さんは長編または中編向きの作家さんだと思うんです。
今回は短編集という形だったので、ちょっとオチに物足りなさがあったような。