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今朝の春 みをつくし料理帖

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月に三度の『三方よしの日』、つる家では澪と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、繁盛していた。そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、澪は包丁使いの指南役を任されて――(第一話『花嫁御寮』)。戯作者清右衛門が吉原のあさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。少しずつ明らかになってゆくあさひ太夫こと野江の過去とは――(第二話『友待つ雪』)。おりょうの旦那伊左三に浮気の疑惑が!? つる家の面々を巻き込んだ事の真相とは――(第三話『寒紅』)。登龍楼との料理の競い合いを行うこととなったつる家。澪が生み出す渾身の料理は――(第四話『今朝の春』)。全四話を収録した大好評シリーズ第四弾!


高田郁さんの「みをつくし料理帖」シリーズ。
 
ああ・・・やっぱりこのシリーズが一番好きです。
特に本作は、気になる澪と小松原の淡い恋が多く描かれていて、小松原の正体が明らかになるにつれて募る想いと、身分の差という大きな障害が読み手にもキリキリとした痛みを伝えてきます。
 
この時代、身分の差というのはとてもとても大きいもので。
小松原も澪の事を憎からず思っているというのが分かるのに、だけど決して結ばれる事はないのだということが痛い程伝わってきます。
その想いを断ち切ろうと努めながらも、澪が葛藤する様が切なくて痛い。
 
そしてもう一つ大好きな、あさひ太夫こと野江と澪の友情。
野江が何故、吉原に身を置く事になったのかが明らかになっていきます。
 
澪の前には試練ばかりが立ちはだかります。
 
それでも澪を支えてくれる周囲の人間の温かさ、料理をお客様に美味しく食べていただきたいという気持ちで前向きに新しい料理を生み出そうとする澪の力強さ。そんな澪にいつも勇気づけられるのです。
 
切なくて、泣きそうになる。だけど、読み終わった後のこの温かさ。
 
読んだ人にしか分からないと思います。
今一番お薦めしたいシリーズです。