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夏光

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哲彦が疎開先の漁村で出会った少年・喬史の顔の左半分を覆う真っ黒な痣。村人たちはそれをスナメリの祟りと忌み嫌うが、痣に埋もれた喬史の左目にはもっと恐ろしい秘密があった―。表題作など、グロテスクな美意識が異彩を放つ驚異のデビュー作。オール讀物新人賞受賞。


乾ルカさんのデビュー作。
 
デビュー作にして、このクオリティの高さは、とにかく凄いの一言。
 
少しホラー色が強い作品かもしれませんが、第一部の昭和の日本を舞台にした作品と、現代の第二部との対比。
目・口・耳、歯・鼻にまつわる不思議な短編集が、それぞれ趣を異にして独特の存在感と読後感をもたらしてくれます。


第一部:め・くち・みみ
夏光
夜鷹の朝
百焔(もものほむら)
 
第二部:は・みみ・はな
Out of This World
風、檸檬、冬の終わり


「夏光」、「Out of This World」、「風、檸檬、冬の終わり」は何だか酷く切なく感じ、
「は」の何ともいえない奇妙で気持ち悪い感じは、きっと後になってもインパクトが残り続けるんだろうな、と思います。
 
文章力もあり、とても読みやすくて満足の一冊でした。