ポチこと須川くんが、高校入学後に一目惚れしたクラスメイト。不思議な雰囲気を持つ女の子・酉乃初は、実は凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』でマジックを披露する彼女は、須川くんたちが学校で巻き込まれた不思議な事件を、抜群のマジックテクニックを駆使して鮮やかに解決する。それなのに、なぜか人間関係には臆病で、心を閉ざしがちな初。はたして、須川くんの恋の行方は―。学園生活をセンシティブな筆致で描く、連作ミステリ。全選考委員が「うまい」と評した第十九回鮎川哲也賞受賞作。
相沢沙呼さんの本です。
第19回鮎川哲也賞受賞作ということで、書店で見かけて気になっていました。
まず装丁の女の子が可愛いですよね。そして、マジックでミステリ！
そこに恋愛要素が絡むとなれば、期待しない訳にはいきません。
語り手の須川くんは、いかにも女性作家が書いていると思われる男子って感じでしたが、それを差し置いてもとにかく酉乃初が可愛すぎた！
無愛想で一人でいることを好んでいるようなところがある初。
そんな初は、実は幼い頃からマジックに勤しんでいる、マジシャン。
初のバイト先のバーでマジックを披露する初は、普段とは違う生き生きとした魅力的な表情を魅せる。
偶然そんな風に意外な一面を見た須川は、初の事が気になり始める。
学内で起こる、様々な謎。
その謎を、初の知恵で解明していく中で、初の意外な過去が明らかになっていき――
文章に優しさというか、とても丁寧に書かれているんだなという感じを強く受けました。
とても読みやすく、とにかくキャラクター設定がうまく、普通の学園ミステリものとしても、恋愛モノとしても楽しんで読む事ができました。
でも私は、それらのシリーズを比べても一番相沢さんの作品に惹かれました。
本当はさびしがり屋で孤独を恐れている初が、少しずつだけど須川に内面をさらけ出していく過程は、もう可愛くて可愛くてたまりませんでした。
マジシャンの可愛い女の子。
今までにない新しいキャラクターの誕生です。
シリーズ化しても良いかも、っていう感じの素敵な作品でした。
