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コロヨシ!!

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20XX年、掃除は日本固有のスポーツとして連綿と続きつつも、何らかの理由により統制下に置かれていた。高校で掃除部に所属する樹は、誰もが認める才能を持ちながらも、どこか冷めた態度で淡々と掃除を続けている。しかし謎の美少女・偲の登場により、そんな彼に大きな転機が訪れ―一級世界構築士三崎亜記がおくる奇想青春小説。


三崎亜記さんの本です。
 
うむむ・・・凄く題材的には良いのに、このラストはいただけない!
と思ったら、続編の連載も始まったと聞いて何だかほっとしました。
 
これだけの大ボリューム、読むのも結構な時間を要しました。
しかしあの終わり方は、明らかに物語が閉められていない感じだったので、続編があるなら許しますよ!
 
 
掃除――
部屋の掃除という意味とは違った、「スポーツ」として存在するものである、掃除に幼いころから親しんできた樹を中心に、掃除部に所属し圧倒的な才能を見せつけたデビューから挫折、そして新たな道への旅立ちまでを描いた本作。
 
ページをめくると、掃除とは・・・そしてその奇天烈なルールが、さも当然という顔をして掲載されていることに、まず度肝を抜かされ、期待は膨らみます。
 
これは、万城目学氏の「鴨川ホルモー」を初めて読んだ時に感じたのと同じくらい、「ありえない!」という思いと反発するような、期待感と似たものがありました。
 
しかし・・・・
やっぱり三崎さん。
 
三崎さんが描く、独特で若干・・・いや、結構難しい世界観を、多分初めて読む人には絶対についていけないと思われる展開に進んでいってしまうのは、最早誰のせいでもないでしょう。
 
三崎さんの作品は、それぞれ繋がった部分が多いので、ずっと追い続けていかないと、それって何?という事になりかねない訳です。
 
私はなんだかんだと三崎作品が気になってしまい、欠かさず読んできましたが・・・・それでも、なかなか難しい世界観でしたね。
 
掃除という特殊なスポーツに勤しむスポーツ青春モノでもあり、天才と称賛されてきた人間の挫折から再生までの物語でもあり、高校生同士の淡い恋物語でもあり、親友同士の微妙な距離感を描いてもいて、家族との繋がりというのを考えてしまう物語でもあって――
 
同じ題材で、多分万城目さんがこれを書いたら、多分もっと軽くて脱力してしまいそうで、だけど味のあるコメディに仕上がるのだろうし、他の作家だったら恋愛を中心とした物語に展開することもできただろうなあと思うくらい、三崎亜記さんという作家が書いた作品なんだなあと、どうしようもなくつきつけられた作品でもありました。
 
 
私的に、三崎さんの描く女の子が好きなんで、偲が可愛かったです。
 
樹の祖父の謎、顧問の過去、国全体の方針など、謎が謎を呼ぶ展開にも関わらず、答えは何一つ記されていない――
そんな中途半端な感じが、勿体ない!という印象を受けた気がします。
 
でも、続編があるというなら・・・・期待しない訳にはいきません!
 
鬼を操る競技の次は、掃除部が熱いですよ!