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残される者たちへ

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デザイン事務所を経営する川方準一のもとに、同窓会の通知が届く。準一の通った小学校の子供たちは、
ほぼ全員が〈方葉野団地〉の子供だった。準一は、親友だったという押田明人に会場で声をかけられるが、彼のことを何も思い出せない。他の人間はすべて覚えているのに。悩む準一は、団地の幼なじみで
精神科医の藤間美香に相談する。美香は、〈方葉野団地〉に住む中学生、芳野みつきの診療も行っていた。
みつきは、自分を庇って死んだ母親の記憶を見るようになったという。記憶のずれと団地の存在に関係があると見た準一と美香は、団地の探索に乗り出した。
二人は〈方葉野団地〉で、想像もしなかった“のこされるもの”に遭遇する…

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小路幸也さんの本です。

篤姫」を読んだ後だったのもありますが、相変わらず風邪で伏せっている今の私にも、数時間で読み終えることが出来て、「ああ、やっぱり小路さんの本って好きだわ」と思った私でした。

今回は、ミステリ色が強いお話でしたね。

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謎のプロローグ。
一番の親友だった「ジュンチ」がそこにいるのに、いなくなってしまった

そして、同窓会で押田明人という同級生に会った準一は、奇妙な感覚に襲われる。
他の同級生の名前や顔は思い出に残っているのに、押田の事を全く思い出せないのだ。
いや、思い出自体が存在していない。

同じく同窓会で再会した、二つ年下の美香。精神科医である美香と共に、その謎を解くことになった。

美香が診療している中学生のみつきもまた、事故以来不思議な感覚を宿し始めた。
自分を守って死んでしまった母の記憶が、見たこともない思い出を「思い出す」ようになったのだ。

準一、押田、美香、みつき。

かつて、そして今同じ団地に住んでいた四人。

一体何が起こっているのか・・・・・・

辿り着いた意外な事実とは―

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ミステリ、というより、最後の方はSF的な感じになってしまってましたね。

ミステリならミステリで完結してくれた方がすっきりしたかな。

中盤まではおっ!という感じだったのですが、後半~ラストがちょっとしっくりこなかったかも。

感覚としては、デビュー作に近いかなと。

けれども、小路さんの優しい文体と登場人物達の優しさ溢れる魅力的な人物像は凄く好きです。
やっぱり落ち着きますね。

これからもずっと読み続けていきたい作家さんです。

ちなみに、帯のコメントは辻村深月さんが担当していました!
メフィスト賞繋がりでしょうか?

ともあれ、嬉しいですね!