No-music.No-life

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晩夏のプレイボール

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互いの抱えるトラウマや家庭環境を乗り越え高校野球に熱中するエースと友人。
「女の子はグラウンドに立てない」と一度は野球を棄てた少女の”再生“。
亡きわが子の姿を偶然甲子園に見た、老夫婦の感慨……。
グラウンドにこぼれている物語を丁寧にすくい上げた、限りなくいとしく、そして懐かしい味わい-

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あさのあつこさんの本です。

バッテリーで中学生の野球を描いたあさのさん。

野球、というよりは原田巧と永倉豪というバッテリーを描いていたと言った方が良いのかな。

今作のテーマは・・




以前にも増して、より『野球』に近づいた感じがする短編集です。

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練習球
驟雨の後に
梅香る街
このグラウンドで
空が見える
街の風景
雨上がり
ランニング
東藤倉商店街
練習球II


個人的に好きなのは、驟雨の後にと、街の風景ランニング練習球・IIでしょうか。

女の子が故に、中学入学と同時に野球を諦めなければならなくなった気持ち。
何もかも「もういいか」と諦める癖があった主人公の、甲子園準決勝・九回裏・ツーアウトランナーなしの、迎えた局面-

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高校野球・・実は大好きなのです。

プロ野球を見てもつまらないとしか思えないのに、何で高校球児達はあんなにも輝いているんでしょうね。

安っぽいドラマを見るくらいなら、高校野球を見るべき!

青春であり、あれは何よりもドラマだ!


と熱くなってしまったのですが・・今作の感想は・・

短編のせいか、物足りなさが凄くありました。

あと、個人的にリンクしている練習球以外は全て単品の話なので、少し繋がっていたりしたら面白かったのではないか?と思ってしまった。

バッテリーという代表作から枠を抜け出そうとするのは、多分非常に難しいことだと思います。
あさのさんなりに、「野球」をまた別の形で描きだそうという心意気は伝わってくるのだけれど・・

同じテーマの元に描かれているせいか、若干設定が被っているように感じてしまうのは気のせいだったのだろうか?

と、少し残念でありつつも、読んで損はない作品です。

ただ、読むなら甲子園が始まる夏の頃がいいかも。