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月魚

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古書店『無窮堂』の若き当主、真志喜とその友人で同じ業界に身を置く瀬名垣。二人は幼い頃から、密かな罪の意識をずっと共有してきた―。瀬名垣の父親は「せどり屋」とよばれる古書界の嫌われ者だったが、その才能を見抜いた真志喜の祖父に目をかけられたことで、幼い二人は兄弟のように育ったのだ。しかし、ある夏の午後起きた事件によって、二人の関係は大きく変っていき…

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三浦しをんさんの本です。

前回初めて読んだ長編風が強く吹いているがとてもよかったので、読んでみようかと思って手を出しました。

う~ん。
悪くないんだけど、前半がダラダラした印象を受けたかも。

まず、古書店を営む若き当主である真志喜と、「せとり屋」と呼ばれる父を持つ瀬名垣の微妙な関係とか、ある事件がきっかけでつかず離れずな関係になってしまったというような・・そういうのはいいと思うんですよ。

ただ、時代設定がてっきり明治とか大正とかのイメージで読み始めてしまったので、現代であることに驚いてしまいました。

それが最初の読み始めだと近代的な感じがしないんですよ。

まず、古書店を営む当主、と言われた時点で勘違い。

で、よく読んでみると現代だということが分かるのですが・・いっそこれは、時代設定を明治とか大正にしてしまった方がもっと味があったのでは?と思えたり。


女性とも思える色素の薄い外見を持つ真志喜と、ある事件を引き起こすきっかけを作ってしまった瀬名垣の同性同士だというのに、なんとも言えないドキドキ感が二人の間を漂っているわけです。

ドキドキ感というより、恋にも似ただけどそんな風に一概に言い切れない関係。


前半は、読んでいて挫折しかけたのですが・・
後半からだんだんキャラクターの魅力が引き出されてくるので、なかなか面白いです。


高校生だった二人の番外編というような、水に沈んだ私の村の方が個人的には好きでした。


三浦さんの作品も、当たり外れがありそうな予感。
でも、ちょっとずつ極めていこうと思ってます。