美丘、きみは覚えているだろうか。ぼくときみがいっしょに暮らしはじめた八月。あの夏の光と夜のやさしさを―。残された命を見つめ、限りある生を全力が走り抜けた美丘。彼女が生きたことの証として最期を見届ける太一。奇跡のラストシーンに向かって魂を燃焼しつくした恋人たちを描く、号泣の物語。
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石田衣良さんの本です。
ああ、何ていうか、喪失感?
ありふれた話なのです。
一言で言えば、今時ありふれた小説なのです。
でも、やっぱり・・最後に残るのはやりきれなさ。
号泣の物語、って単純に泣いたりはしないんですけど・・悲しい話でした。
号泣の物語、って単純に泣いたりはしないんですけど・・悲しい話でした。
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物語は、大切な女の子を失ってしまったと思われる主人公・太一の現在進行形でありつつ、過去を回想するという形で進んで行きます。
特別に美人という訳でもないのに、パッと目を惹く小柄な女の子、美丘。
友達の彼氏に手を出したり、女の子にも手を出したり、喧嘩をして男の前歯を折ったり、突然訳も分からないまま怒りだしたり、時折可愛らしい一面も見せたり・・・
かなり個性的な女の子である美丘と偶然に出会うことになった太一。
美丘に出会い、仲間達と過ごす大学生活。
三角関係、仲間達とのロックフェス、クリスマスパーティー、初めてキスした夜、同棲生活・・
毎日はどの1日だって無駄な日などないと気付かされていく太一。
忍び寄る病気の影・・そして、発症-
美丘の中から失われていく、二人の記憶。
思い出、シチューの作り方、言葉、歩行困難・・
思い出、シチューの作り方、言葉、歩行困難・・
美丘とのある約束を、果たして太一は成し遂げる事が出来たのか・・?
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昨日まで、いやさっきまで出来ていた事が突然に出来なくなり、目の前の人物、自分すらも誰だか分からなくなるというのは・・どれだけ絶望的な気分なのだろう。
それでも自分を最後まで見失わなかった美丘の強さに、ただただ見習いたくなるばかりです。
・・どうでもいいけど、このカバーがちょっとエロイよね。
そのせいで抵抗があってなかなか手に取れなかったんだよ。
そのせいで抵抗があってなかなか手に取れなかったんだよ。
文庫化したらちょっとこれは変えて欲しいなあ。