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ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~

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鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。


三上延さんの本です。
 
非常に話題になっていたし、本屋大賞にもノミネートされておりましたが、兼ねてから新聞広告で見かけて本を題材にした作品か、と気になっていたものです。
話題性に溢れている本というのは、勢い予約待ちも相当のレベル。
この本も予約して大分経っていたと思いますが、ようやく読む事が出来ました。
 
少々残念なのは、見た目がライトノベル的(メディアワークス文庫はほぼそうか)なので、手に取りにくいこと。
本だけ見たら、多分自分は買わないだろうな、と思うのです。
ということで、そこまで期待をせずに読み始めたのですが、とにかく驚いたのは「文章の読みやすさ」。
これは・・・久々に感動するほどかもしれません。
 
どうしたって文章に癖がある作家、読みづらい、一筋縄ではいかない独特の文体。
そういったものがやはり巷に溢れていて、単純に「誰が読んでも読みやすい本」って、実は少ないんじゃないかなと思うのですよ。
 
ところが、何だか凄い勢いですらすら読めちゃうし。
主人公の掴みどころのなさ、出来過ぎな可愛くて巨乳(!)の眼鏡美人の栞子さんのキャラクター設定はまあありふれているものかもしれないけど、こんなに読みやすい小説ってある意味凄いですよね。
 
で、私は全く純文学と呼ばれるような作品を読まない人なので、本作に取りざたされている作品の内容すら知りません。
そんな無知な私でも、栞子さんのスイッチが入った時の状態は凄くよく分かって(普段人見知りして全然喋らないのに、自分が好きなジャンルになると物凄い勢いで喋り出す・笑)、栞子さんに萌えましたし。
 
本が好きなのに読めない、という特異な体質(?)を持った主人公が、少しずつでも本に歩みよろうとしているのも好感が持てました。
 
また、安楽椅子探偵という立ち位置にいる栞子さんの推理だけど、え?何で?と思う間に解決してしまう話とは違って、ちゃんと筋道立てて説明もされているし、納得できるのが良かったかな。
 
続編も出ているんですよね。
好みで言ったら、手元に置いておきたいほどはまる訳ではないけれど、本として読む分には十分楽しめました。
レビューでは賛否両論だけど概ね高評価。
私は高評価に一票ですね。
 
(4.5点)