僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。代わりに卵の殻を見せて、僕を卵で産んだなんて言う。それでも、母さんは誰よりも僕を愛してくれる。「親子」の強く確かな絆を描く表題作。家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母姉弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく(「7's blood」)
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瀬尾まいこさんのデビュー作です。
あ~なんか、久々に心が洗われたような気分だわ。
僕は捨て子だという冒頭の部分から、「とか何とか言って~、結局捨て子じゃないってオチでしょう?」だなんて甘い考えで読み始めたら・・ほろりとしてしまいました。
結論から言うと、捨て子ではないけれど母の子供ではない、という話なんですけど。
それ以外には、20代の若い母のコミカルなやりとりと、いつも話題に上る会社の朝ちゃんと、
「美味しいものを食べている時に、あの人にも食べさせたいと思い浮かんだ人が好きな人なんだ」
という本当なのか何なのか分からない母の言い分で、僕の頭に浮かんだのが登校拒否をしている池内君で。
父のいない母と子、2人の家族はいつしか朝ちゃんが父親となり、そして今度新たな命が誕生する。
何か大きな事件が起こる訳でもないのに、主人公の僕を愛しているとさらりと言ってしまえるこの母は、とても魅力的だ。
心が温かくなった。
高校3年生の七子の家にやってきたのは、七生という父の愛人の小学6年生の息子だった。
その父は既に亡くなり、七生の産みの母親は刑務所に入っている。
そんな七生を引き取った物好きな七子の母もタイミングが悪く入院生活を送る事になってしまった。
そんな七生を引き取った物好きな七子の母もタイミングが悪く入院生活を送る事になってしまった。
父親が同じというだけあって、二人はよく似ていた。
ただ、七生は大人達に受けるよう、周囲に受け入れられるように取り繕っている所があった。
だからこそ、何でもそつなくこなし、子供らしからぬ子供だった。
だからこそ、何でもそつなくこなし、子供らしからぬ子供だった。
そんな所が七子には気に入らないのだ。
母を見舞いに行くたび、顔色は良いのだがなかなか退院出来ないこともあり、家では七生と二人きりで過ごす羽目になって気まずい毎日。
それでも、少しずつ二人は心を通わせていくのだが・・
腹違いの姉弟って、しかも6個違いという微妙な歳の差って、なかなか接するのが難しいと思うんですよね。
殺人者の母親を持つ七生は、自分を守る術を身につけている。
それが可愛くないと思うのか、けなげだと思うのかは人それぞれだが・・
それが可愛くないと思うのか、けなげだと思うのかは人それぞれだが・・
最後は少しだけほろりとしてしまった。
個人的に、七子の隣の席の島津君が気になりましたけど(笑)
久々に良い本を読んだ気がします。
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