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しあわせなミステリー

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伊坂幸太郎(第5回本屋大賞受賞/第21回山本周五郎賞受賞)、中山七里(第8回『このミス』大賞受賞)、柚月裕子(第7回『このミス』大賞受賞)、吉川英梨(第3回日本ラブストーリー大賞特別賞受賞)ら大人気作家が、“人の死なない"幸せなミステリーをお届けします。伊坂節全開、決して期待を裏切らない超絶人気作家の書き下ろし短篇「Bee」。ラストで想定外の巧妙な仕掛けが炸裂する中山七里の新境地「二百十日の風」、新たな高みに到達した検事・佐方シリーズ、感動の新作「心を掬う」。ドラマ化の女性秘匿捜査官・原麻希シリーズからは子供探偵・原菜月(6歳)が大活躍の「18番テーブルの幽霊」。以上四篇を収録。


中山七里
吉川英梨
 
中山さん以外は、既存作品のシリーズものまたはスピンオフ作品。
吉川さん以外は読んだ事がある作家。
伊坂さんと中山さんは好きな作家。
ミステリ好き。
しかも「しあわせな」ミステリだって!
図書館に置いてあった。
じゃあ借りてみよう、と意外とすんなりと読む事ができた本。
 
私はアンソロジーをよく読みますが、その実ほとんど満足したことがありません。
過去2作くらいですかね。面白いと思ったアンソロジーって。
 
突出して面白い作品があるかと思いきや、全然自分には合わない作品があったり。
全体を通してみると「まあ普通かな」という程度にしか満足したことがなかったりします。
 
元々、本作に収録されている4名中3名の作家の作品は何度も読んでいて、そのうち2名は好きな作家。
ミステリが主軸になっているならまず間違いはないかな、と思うのですが、間違いなかったです。
うん、面白かった!


特に、伊坂さんと柚月さんの作品が良かったです。
 
それというのも、伊坂さんは「殺し屋」の男=兜を主人公に据えた作品でした。
これはグラスホッパーやマリアビートルで馴染みの「殺し屋」の話であり、微妙なリンクもあります。
裏稼業として人を殺している男も、家庭では妻に頭が上がらないという意外な面に、不謹慎ながらも微笑ましく思えます。
しかも、本気でスズメバチの巣と格闘するという話(?)なのですが、これが見事に何だか面白いんです。
最近のアンソロジーに収録されている伊坂作品にいまいち満足できなかった私ですが、これはツボでした(笑)
 
柚月さんの話は、検事時代の佐方シリーズの作品。
物凄いひらめきと洞察力で事件の本質に迫る佐方の仕事の取り組み方には脱帽するほど。
今回も活躍を見せてくれます。
 
中山さんの作品はいつもとは違ったちょっとファンタジーが入り混じったミステリという感じ。
意外な所でほろりとさせられます。
 
吉川さんは初読でしたが、先日ドラマ化された「アゲハ」のスピンオフ作品なのだとか。
若干他3人に比べて文章が読みにくいかなと思う所もありましたが、なかなか面白かったです。
他作品も機会があったら読んでみたいです。
 
(4.5点)