心霊スポット・バケトンに潜む怨念に振り回される恐怖を描く「8・1」死体を撮ることに執着する男の狂気に迫る「写真メール」ある事実を告げるために死んだ恋人を甦らせる「黄泉の階段」狂った遊園地で繰り広げられるデスゲームを描いた「ジェットコースター」表題作「8・1」ほか3作品を収録した山田悠介初の短編集。
知る人ぞ知る、「リアル鬼ごっこ」の著者。山田悠介さんの作品です。
友達が面白い面白いって言っていたけれど、どうしてもあのおどろおどろしい装丁が近づきがたい雰囲気を醸し出しておりました。
ホラーは決して好きではないし、まして心霊系なんてもっと駄目!
絶対無理無理!
と思っていたところで、友達に借りました。
感想としては・・・山田さんはまだ若いな、って感じですかね。
年齢的にもそうだけど、内容、表現力的にも・・まだまだこの人は伸びていけると思うんですよ。
成長途中というか。
そんな印象を受けました。
でも、読みやすいんですよ。
しかも心霊的な怖さじゃないんですよ。
人間的な怖さというか、「こういう怖さなのかよ!!!」って思わずツッコミを入れてしまうくらいのものです。
はっきり言って、この短編集は読んでもどれもしっくり来ない、納得できない、結末が何となく読めるって期待外れ(といったら偉そうですが)な印象を受けたんです。
しかし一つだけ・・・ハラハラしながら読めるものがありました。
『ジェットコースター』
という話です。
ジェットコースターのレーン?にぶら下がり、落ちたら負け・・というゲームに参加させられてしまった主人公達。
その背後には、勝者を予想し賭け事をする汚い人間達がいた・・・。
次々と力尽き、脱落(=死)していく人。
そして最後に親子(娘と父)と主人公だけが残され・・・
最初に語られる口調で、生き残ったのは主人公の恋人なのかなと思ってしまいました。
そして何より怖いのは、実際起こるわけないのだけれど、でも・・・もしかして、全国の何処かでこんなゲームが行われていたとしたら・・と思わせてしまう所ですかね。
この短編だけは読んでみて下さいよ。
そして読みやすいと思ったら、山田さんの他の作品にも挑戦してみて下さい。