親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?傑作長編ミステリー。
東野圭吾さんの本です。
ほほう!これはなかなかおもしろかったです。
結構分厚い本なんですけど、難なく読み進める事が出来ましたね。
東野さんの本は、私の中で苦手なやつと好きなやつの差が激しいかもしれません。
そんな中、この本は興味深く読めた作品かと思います。
そんな中、この本は興味深く読めた作品かと思います。
まず、冒頭のシーン。
プロローグが、山手線と京浜を利用した事のある人なら、「そうそう!」と思わず頷いてしまうようなシーンが描かれています。
プロローグが、山手線と京浜を利用した事のある人なら、「そうそう!」と思わず頷いてしまうようなシーンが描かれています。
同じ時間、同じ車両にいつもと同じ人が、もしお互いの電車に乗っていて、お互いにその相手を見ていたのだとしたら――
突きつめていくとするならば、ここで彼らがどうにかなっていたら、こんな難しい事にはならなかったのでしょう。
最後まで、智彦の健気さが切なくて・・・自分の事しか考えていなくて、友情よりも恋愛を取った主人公に比べたら、友情も恋愛も壊れない「最善の」方法を選択した智彦が救われない気がしてなりませんでした。
結局、麻由子が好きだったのは――と思うと、更にやりきれない。
この話は、単純にラブストーリーとして読んでも切ないのだけど、主人公が自分の記憶が本当に真実なのか?を疑い始めてから、真実を突きとめていくまでの経緯が、2つのシーンから描かれているという特殊な構成になっています。
もし、自分の記憶が「改編」された記憶だとしたら・・・
そんな事を思うと、思わず背筋が凍るような怖さです。
2つの意味で楽しめる一冊でした。