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時鐘館の殺人

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作家、評論家をはじめミステリーマニアの集まる下宿屋・時鐘館。編集者の催促を前に「原稿は一枚も書けていない。勝手ながら『消失』する」との手紙を残し、締め切り直前の老推理作家が姿を消した。翌朝、発見された雪だるまに彼の死体が。マニアたちが展開する華麗でシビアな推理の行方は?(『時鐘館の殺人』)傑作ミステリー短篇集。


今邑彩さんの本です。
 
あーやっぱりいいですね。
このどんでん返し。そして後味の悪さ。一筋縄ではいかないストーリー展開。
 
今邑さんの短編集、好きです。
 
表題作の時鐘館の殺人だけはある意味異色です。
というのも今邑さんがアマチュアだった頃に書いたものを元にした作品だそうで。
 
現在の作品の完成度の高さや文章の読みやすさからすると、少々読みにくくて設定が強引かな?と思う部分もあったりしますが、今邑さんの筆力の成長ぶりが見えるので興味深いかもしれません。
 
「あの子はだあれ」は怖い話のように見せかけて、もしかしたら自分の生きる世界とは別の世界が同時に進行するのかもしれない・・・と思わせてくれ、「恋人よ」はすっかり主人公の男と共に恐ろしい気持ちになっておりました。まさかのオチにほっとしてしまいました。
 
今邑さん、地元の図書館に全然置いていなくて(多分自動書庫にあるのだろう)、もっと読みたいのになかなか読む機会がなくて残念。いつか制覇したいです。
(4点)