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ぼくは悪党になりたい

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兎丸エイジ、17歳。ぼくの家庭に父親はいない。
奔放な母と腕白な異父弟・ヒロトの3人で平凡な生活を送っている。
毎日家事全般をこなす高校生が平凡がどうか疑問ではあるのだが・・・

ある日、ヒロトが病気で倒れたのをきっかけにぼくの平凡な日常は少しずつ壊れはじめる。
生きたいように生きる人たちの中で、ぼくだけが貧乏くじをひいいているのではないだろうか?

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笹生陽子さんの本です。

文庫新刊という事で、読んだ事あるような気がして買うのを躊躇っていたくせに結局買った私。

読み始めてやっぱり読んでたし、単行本も持ってた気がしてきました(確認してない)。
それでもやっぱり面白かったです。

仕事の都合でしばらく外国に行ってしまう母に代わり、弟の世話や家事全般に渡って任される事になったエイジ。
とは言っても、未婚の母は仕事で昔から家事の類はエイジがこなしていた。
半分しか血の繋がっていない弟とは父親が違う。
二人とも父親が誰かは分からない。

エイジが修学旅行に行く直前に、突然弟が熱を出した。
そこで母がいざという時の為に備えてあるアドレス帳の中から適当に一人を抜き出し看病してもらう事にした。

そうしてやってきたその人杉尾さんは、ふいに「こんなに早く会えるとは思ってなかった…」と呟いた。
もしかして弟の実の父かもしれないと勘ぐるエイジだったが…

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コミカルかつ冷静に語る主人公・エイジが、周りのごたごたにいつしか巻き込まれてしまう話の展開は、気の毒ながら笑える、そして時にほろりとさせられてしまう。

エイジのとんでもなく情けなく可愛そうな運命の悪戯に苦笑しながらも、
家族とは何か?という事もふいに考えさせられた話でもありました。

笹生さん、お薦めです。