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四十九日のレシピ

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熱田家の母・乙美が亡くなった。気力を失った父・良平のもとを訪れたのは、真っ黒に日焼けした金髪の女の子・井本。乙美の教え子だったという彼女は、生前の母に頼まれて、四十九日までのあいだ家事などを請け負うと言う。彼女は、乙美が作っていた、ある「レシピ」の存在を、良平に伝えにきたのだった。家族を包むあたたかな奇跡に、涙があふれる感動の物語。


伊吹有喜さんの本です。
 
大層話題になっているこの作品、予約してから結構待った気がします。
ようやく手元にやってきたので、かなり期待して読み始めました。
 
読み始めて数ページで、物語の核となる部分を瞬時に察してしまいました。
 
そして伊吹さんはこの作品がまだ二作目ということもあって、文章に巧さをあまり感じません。
決して読みにくくはないのですが、まだ経験が浅いのかな?と思う程度にはそれを感じてしまいます。
 
ただ、この作品は井本やハルミの正体が何であったのか、ということを言及するようなものではありません。
だから心の底から感動したり、何かを感じて読む事ができなくなっている自分は、やっぱり何処か病んでいる部分があるのかもしれません。
 
 
亡くなった継母の乙美が残した「レシピ」
そこには、可愛いイラストと暮らしのレシピなる、料理や掃除のやり方などが丁寧に書かれていた。
 
夫の浮気で離婚問題に揺れる百合子と、乙美を亡くしてから生きる活力を失っていた父。
そこに現れたのは、四十九日間だけお世話をすることになった、という井本という女の子。
 
嵐のようにやってきて、いつしか溶け込んでいる井本。
乙美から家事全般を教えてもらったという井本は、料理の味から何まで乙美にそっくりで――


百合子と旦那のごたごたは、ちょっとリアル過ぎてここまで書かなくても良かったのでは?と思ってしまいました。
凄く良い題材なのに、その良さが後半まで伝わってこないのが非常に残念。
 
もうちょっと構想を練って、もう少しひねったら、多分もっと余韻の残る感動物語になっていたのではないでしょうか?
 
でも、ラストの予想通りの展開も、何だか温かくてつんと鼻の奥が痛いような気持ちにさせてくれたから不思議です。
 
多分、もっと平和な人生を送っている人が読んだら、素直に感動して読めたんじゃないかと思います。
私の精神状態では、やっぱりそう思えるのは無理だったらしい・・・
 
期待し過ぎたせいでしょうか?
 
巷で売れている「神様のカルテ」とか本作も、やっぱりまだ作品の発表が少ない作家さんのせいなのかな?
まだまだ技量が足りない、とか言える身分でも何でもないんだけど、世間で売れているならばきっと面白いのでは?と期待して読む割には、案外楽しめなかったりするのが残念であります。