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天使の卵 -エンジェルス・エッグ-

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そのひとの横顔はあまりにも清洌で、凛としたたたずまいに満ちていた。19歳の予備校生の"僕"は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持はあったが、"僕"の心はもう誰にも止められない―

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結局年内に読み終わりました。

村山由佳さんのデビュー作でもあり、小説すばる新人賞の受賞作でもあります。
毎度思うんですが、村山さんという人はとても読みやすくシンプルな恋愛小説を描く人だなと感じます。

劇的な何かがあるわけじゃないけれど、そのどこにでもあるような恋愛だからこそ、人を惹き付けて離さない。
そんな魅力的な物語を作り出すのがとても上手いです。

小西真奈美と、市原隼人君、沢尻エリカが主演した映画にもなった今作は、いかに?!

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19歳の予備校生・一本槍歩太は、ある日電車の中で一人の女性に釘付けになる。
その凛とした佇まいに、心が一瞬にして奪われてしまった-

歩太は、美大を志望していながらも2つの大学から一つに絞れなかったこと、また普通大学と3つも受けたにも関わらず、ことごとく大学に落ちてしまった。
予備校生活を送る日々。
皮肉にも、ガールフレンドである夏姫は大学に受かり大学生活を楽しんでいる。

そして、母は飲み屋を経営している。それが、歩太と母の生活のよりどころだった。
父は、9つの時に気が狂ってしまい精神科に入院している。
それから10年経つ今も、病院に見舞いに行っても父は何の反応も見せない。
一向に回復していないように見えるのだった・・。

夏姫には、後ろめたい気持ちがあるもののどうしても消えないあの女性への想い。
そんな時。
父への見舞いに訪れた歩太は驚く。
何とそこに、あの女性・・春姫がいたのであった。

最近、父の担当の精神科医になったのだという。

急速に親しくなっていく二人。
しかし、春姫は夏姫の姉だった・・。

それでも、春姫への想いを貫き通そうと夏姫に別れを切り出す。
夏姫は、春姫へとその事を相談していた。

「あの子のことどう思ってるの?」

春姫が言う。

「好きな人がいるんです。・・あなた以外に誰がいるっていうんですか」

告白。
そして思いがけない春姫の過去の告白。

それでも、少しずつ二人の距離は縮まっていくのだったが・・・

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これ以上言ってしまったら面白くありません。
敢えて言いませんが、お決まりのパターンだと思うとちょっと違うので、覚悟はして下さい。

ラストのやるせなさはどうしたらいいんでしょう?

優しくて切ない・・素敵な一冊でした。

次は天使の梯子を読みます。