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花宴

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小太刀の名手である紀江は、藤倉勝之進を婿に迎えるが、かつて思いを寄せていた三和十之介への募る思いを消し去ることはできなかった。やがて、父の死をきっかけに夫が自分を避け始めるが、それは自らの業の深さゆえと自分を責めるしかなかった。しかし、ある朝、何者かに斬られ、血まみれとなった勝之進が告げたのは、藩内に蠢く禍々しい策謀の真実だった! 今さらながら夫への献身を誓い、小太刀を手にした紀江だが……。


あさのあつこさんの本です。
 
久しぶりな気がするあさのさん。
今回は女性が主人公の時代小説。
やはりあさのさん、女性が主人公の時代小説が上手いなあと。私好みなんですよね。
静謐で凛とした雰囲気がとても良いです。
 
物語の始まりは平凡だけど幸せな日々なのに、まとまりかけた縁談の破断、ようやく別の縁談がまとまるが、破断になった相手を思いきることができない紀江。
ようやっと子供を授かるが、その子供を亡くし、父を亡くし、夫は家に帰らない日々が続く。
心に抱えるのは人にはいえない忘れられないあの人のこと――
 
これでもかこれでもかと主人公に試練を与えるストーリー展開が読み手を苦しめます。
 
クライマックス、何とも切ない再会。
ラスト、ようやく心を通わせた夫と紀江。だけどこんな形のラストになるなんて・・・。
 
凛とした強さを持った紀江。
紀江を影でそっと支えてくれる夫との関係がとても良かったです。
 
ハッピーエンドではないラストなので、何ともやりきれない切なさに満たされました。
(4点)