No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

You can keep it.

イメージ 1

文庫版『インストール』の書き下ろし小説。

綿矢りささんの作品でございます。

単行本は持っているので、文庫を買う事はないだろう。
故に読むのもきっと大分後になるだろう・・・

と諦めておりました。

しかし、ひょんなことからこの本を借りることが出来まして、早速読んでみました。

---
主人公、城島は自分のものを人にあげることで自分自身を守り続けてきた。
お蔭で、一度も誰かにいじめられたことがない。

過剰防衛?
いや、違う。

確かに、これを続けていたことで自分を守ることができているはずだ。

そして、大学生になった今でも城島はそれを続けている。

・・・

城島は、クラスコンパで知り合った綾香が気になっている。

綾香に何かを贈りたかった。屈託のない、自然な贈り物。

自分が身に付けて、それを綾香が褒めたところで何気なくあげる方法は・・
いや、そんな方法では不自然だ。
自然なものを・・

そしてひらめく。

一番屈託のない贈り物。

お土産だ。

そして城島は、綾香にポストカードをプレゼントする。
インドの国の風景写真が入った、絵葉書を。

自然に、城島はこのポストカードをお土産として綾香に渡す。
「インド旅行のお土産」と偽って・・・

しかし・・・

---

人に物をあげる事で、うまく渡っていた人生が思いがけない形で崩れてしまう。

主人公城島が・・最後、きっと変わっていくのであろうと思える結末(最後はとっても中途半端で、まだまだ話が続きそうに終わるので)
なので、安心して読める感じだ。

短編なので、とっても短く感じられる。
この話は序章で、まだまだ続きがあるのでは?
と思うようなラストである。

文庫を読むにあたって、久々に『インストール』を読み返してみた。

相変わらず、面白く、言葉がとても軽快で、爽快で、テンポ良く読めてしまった。

やっぱり綿矢りささんは凄い!
と相変わらず、思ってしまった作品である。