No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

ひらいて

イメージ 1
 
やみくもに、自分本位に、あたりをなぎ倒しながら疾走する、はじめての恋。彼のまなざしが私を静かに支配する――。華やかで高慢な女子高生・愛が、妙な名前のもっさりした男子に恋をした。だが彼には中学時代からの恋人がいて……。傷つけて、傷ついて、事態はとんでもない方向に展開してゆくが、それでも心をひらくことこそ、生きているあかしなのだ。本年度大江健三郎賞受賞の著者による、心をゆすぶられる傑作小説。


綿矢りささんの本です。
 
発売して結構経っている気がするのですが、なかなか読む機会がなくて今頃読みました。
 
綿矢さんは鮮烈なデビューからしばらく新作発表のない期間を経て、迷走していた時期があったように思います。
一旦リセットしてデビュー時の頃の軽やかな屈折とでもいいますか、ちょっと変わった女の子を題材に据えて、独特の節回し、圧倒的な存在感でここ最近の作品でも私を魅了してきました。
 
ページ数少なめ、字も大きくて、読みやすい文章の軽い感じ(だけど物凄く余韻が残る)の話かなあと今回もそういう気持ちで読み始めました。
 
女子高生・愛の何処か歪な恋の形。
「たとえ」に恋し、進路や友達関係や勉強や日常もどうでも良くなるほど恋焦がれる。
そんな「たとえ」には5年も付き合っている彼女がいた。
彼女に接近し、二人の関係を崩そうとあろうことか彼女に手を出す愛。
 
嘘っぱちの言葉、うわべだけの笑顔で今まで生きてきた愛が、初めて本心を見破られた瞬間――
なんですか、もうラスト1/3が凄い。
もう圧倒的な巧さ!
 
前半でかなり色々詰め込まれているので後半どう収まって行くのだろう?と思っていたのに、ピタッと話が収まった鮮やかさも見事。
 
上手く言えないけど、やっぱり綿矢さん、凄いなあと改めて思いました。
1984年2月生まれの28歳。
生まれた年月が一緒だというのに、何でこんなに差があるんだろう(笑)可愛いし!
 
「しょうがの味は熱い」も読みたいです。
(4.5点)