No-music.No-life

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私をくいとめて

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黒田みつ子、もうすぐ33歳。一人で生きていくことに、なんの抵抗もない。だって、私の脳内には、完璧な答えを教えてくれる「A」がいるんだから。私やっぱり、あの人のこと好きなのかな。でも、いつもと違う行動をして、何かが決定的に変わってしまうのがこわいんだ―。


綿矢りささんの本です。

 
いいですね、本当にここ最近の綿矢さんの作品。
同い年、生まれた年も月も一緒なのでかなり親近感がある作家さんで、デビュー作からずっと読んで来ていますが、一時作品が発表されない期間があってどうしたのかなあと思っていたのですが。
ここ最近はコンスタントに作品が発表されて、その突き抜けた感じがとてもいいと思っています。
 
私も33歳。
この物語の主人公、みつ子に妙に感情移入している自分がいました。
 
それというのも、、
恋人はいないが、休みの日は自分の好きな事を謳歌する日々に充実しており、「おひとりさま」を満喫している主人公なのです。
また、仕事も可もなく不可もなくでこなせているし、この「プチ孤独感」的なものを楽しんでいる感じで、全く悲壮感がない・・・!
 
というところに、新しいものを感じました。
 
そして、脳内の自分の分身「A」という彼からアドバイスを受けて(この変人具合もなんか親近感・・・)、生活環境を変えてみたり、恋をしてみたりと何だか毎日を楽しんでいる・・・!?
 
30歳前後の未婚アラサ―女子の話というと、劣等感や悲壮感に溢れた物語が乱立していて、いささか食傷気味。
そんな中にあって、この小説は斬新でした。
 
そして何故か凄く勇気をもらえたのが不思議です。
 
この主人公は恋を始めることになるのですが、「結婚」を焦らない、自分のポリシーをしっかりと持っているところが何か好きでした。
 
いやーなんだろ、この読後感。
癖になりますね。
(4点)