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手のひらの京

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おっとりした長女・綾香は31歳、次第につのる結婚へのあせり。一方、子供の頃からモテて、恋愛に生きる次女・羽依は入社早々、職場で人気の上司と恋仲に。大学院で研究に没頭するリケジョの三女・凜は自ら人生を切り拓くべく、いずれ京都を出ようとひとり心に決めていた。生まれ育った土地、家族への尽きせぬ思い。かけがえのない日常に宿るしあわせ。人生に、恋に悩みながらもまっすぐ生きる三姉妹の成長と旅立ちの物語。

綿矢りささんの本です。
 
最近綿矢さんの作品が定期的に刊行されているのが嬉しい限り。
一時期筆が止まっている感じでしたけど、今の突き抜けた感じの綿矢さんの作品は好き。
ですが、今回はいつもの感じとはまた違った作品でした。
 
9月に京都旅行に行ったせいもあり、読みながら京都御所のイメージが鮮明に浮かび上がってきたりするのが嬉しい。
 
京都で生まれ、京都で育ち、京都から出た事のない家族・三姉妹の物語。
それぞれ三姉妹の目線で物語が進んで行きます。
 
京都人ならではの慣習、京都独特の文化、観光客に見せる顔と普段の顔はきっと違うのでしょう。
京都って外から入ってくる人を受けつけないような雰囲気があると聞きますしね。
 
前は京都に永住したいと思っていた私ですが、たまーに観光に行くくらいがちょうどいいのかもと思ったりもします。
 
モテる女子、次女のいけず撃退法にはスカッとしましたね(笑)
そして長女の久しぶりの恋愛がゆっくり、着実に幸せに近づいている感じが微笑ましかったです。
綿矢さんの作品には珍しいおっとりタイプの三女は、京都を出るという選択をします。
まだまだこれからの生活は続いていく、という結末ながら、三女の門出が希望に満ち満ちている感じが伝わってきて、温かい気持ちになるラストでした。
 
綿矢さん、京都のご出身だったのですねえ。
文才もあって京美人って・・・最強ですね。
 
なかなか素敵な作品でした。
(4点)