「不義密通を犯した妻の血を引く娘に、なにとぞ善き名前を与えてくださらぬか」幼いお艶と共に妻敵討ちの旅に出て六年、江戸近郊で無念の死を遂げた矢萩源九郎が寺の住職に遺した言葉である。しかし、源九郎の骸と魂は三昧聖によって清められ、安らかに浄土へ旅立つ。「艶」から仏縁の「縁」と改名した少女が美しく成長する姿を、透明感溢れる筆致で描く感動の時代小説。
高田郁さんの作家デビューのきっかけとなった作品だそうです。
「みをつくし～」シリーズ、「銀二貫」と感動を与えてくれた名作を読ませてくれる高田さんの作品ですが、デビュー作ということもあって、ちょっと読みにくい印象も。
それと、女性が主人公である故、女性であるが故に虐げられたり、弱い立場であったり、という話が多くて、読んでいてちょっと辛かったです。
時代小説版・おくりびとという印象でしょうか。
でも、死んだ人間が浄土へ旅立つ前に、こんな風に丁寧に洗い清めてくれる存在がいるということは、残された遺族達にとってはとてもありがたいことでしょう。
お縁の成長物語としても読めるけれども、ちょっとしたミステリとしても楽しめる作品でした。
「みをつくし～」の最新作を読んだら、高田さんは全制覇かな？
楽しみだけど、ちょっと切ないです。
ちなみに高田さんは、ここ最近個人的にとても注目している作家さん。ぜひぜひ。
