お江、そちには宝がある。おのれを信じ、おのれの思うまま存分に生きよ。浅井三姉妹の三女・江、波瀾の生涯、完結。
田渕久美子さんの本です。
意外と早く下巻を読めてほっとしました。
間が空いちゃうと、内容を忘れてしまうんですよね。
下巻では、豊臣政権の崩壊と徳川政権の確立までという歴史を軸に、3度目の結婚という運命を辿る事になった江の生涯を描きます。
運命に翻弄される、茶々・初・江の三姉妹。
政治の道具にされるしかない「女」という立場。
それでも自分をしっかりともち、決して信念を曲げずに人生を全うした三姉妹の強さに圧倒されました。
比較される3人の武将。
気性が荒く、容赦なく処罰を与えるイメージの信長。
「サル」と評され、何となく地味なイメージの秀吉。
何となく掴みどころがなく、一番狡猾でしたたかなイメージの家康。
後世に名を残す有名な人物と共に、その激動の時代を生きた三姉妹。
特に躊躇わず真正面からぶつかっていく江から見たそれぞれの武将のイメージが、意外なものに変わったのを感じました。
しかし個人的には、江の生涯を最後まで描いて欲しかったなあという感じです。
春日局が出てきたり、大奥の制度が確立されたり――これから面白くなるだろうに、というところで呆気なく江が死んでしまったというところまで時間が動いて終わってしまうのは残念でした。
大河ドラマではどのように描いてくれるのでしょう。
「篤姫」であれだけ面白い作品を作り出してくれた田渕さん。
今作も女の生きざまを鮮やかに強く描いてくれました。
ドラマ版にも期待します。