「王愛勤」ことワンちゃんは、名前のとおりの働きもの。女好きの前夫に愛想をつかし、見合いで四国の旦那のもとへ。姑の面倒をみながら、独身男たちを中国へ連れていき、お見合いツアーを仕切るのだ。各紙絶賛の文學界新人賞受賞作。
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中国籍の作家さんらしく、芥川賞候補としては初めての事だったようで、本作の名前は良く耳にしていました。
どんな物語を書く人なんだろう?
タイトルだけを聞くと「犬?」とも思えるその可愛らしいものとは裏腹に、いやいや・・最後は何となくぽっかりと穴があいたような、喪失感のあるお話でした。
どんな物語を書く人なんだろう?
タイトルだけを聞くと「犬?」とも思えるその可愛らしいものとは裏腹に、いやいや・・最後は何となくぽっかりと穴があいたような、喪失感のあるお話でした。
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本作に収録されている二編とも、日本に暮らす中国人の女性を描いた話なのですが・・妙齢の女性が読めば、国籍も関係なく、まるで自分自身の姿のように思う人もいるのではないでしょうか?
若干やはり読みにくさはあります。
丁寧な日本語なのですが、表現がやはり日本人が書いたものではないな、という感じがひしひしとして、読むのは少し苦労するかもしれません。
丁寧な日本語なのですが、表現がやはり日本人が書いたものではないな、という感じがひしひしとして、読むのは少し苦労するかもしれません。
ただ、この読後感の雰囲気というか、喪失感は嫌いじゃなかったりします。
ワンちゃんのラストでは、鮮やかなストールの赤と密かに思う男の妻となる女の赤い口紅の色とが重なり合って涙で滲むというシーンは、あまりにも綺麗で、リアルでとても悲しいのです。
淡々とした語り口調と、一歩引いた目線で見ている視点が、物語に良い意味で淡々とした雰囲気を醸し出す効果にもなっていて、なかなか良いです。
ただ、やっぱり読みにくさはあるので、気になる方は読んでみて下さいというだけにしておきます。