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海を抱く BAD KIDS

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超高校級サーファーであり誰とでも寝る軽いやつと風評のある光秀。一方、まじめで成績優秀、校内随一の優等生の恵理。接点のほとんどない二人がある出来事をきっかけに性的な関係をもつようになる。それは互いの欲望を満たすだけの関わり、のはずだった。それぞれが内に抱える厳しい現実と悩み、それは体を重ねることで癒されていくのか-

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村山由佳さんの本です。

前回のBAD KIDSの続編で、都の友人としてちらっと出てきた藤沢恵理が主人公になっています。
また、都と共に物語を紡いだラグビー部の隆之の友人、光秀が軸にもなっています。

これを読むならば、ぜひBAD KIDSを読んでからの方が味わい深く読めます。
同時進行に話が進んで行って、前回語られていなかったちょっとした部分も最後で読めますしね。

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高校生サーファーとして、数々の大会に出場をしてきた光秀は周りの人間に軽いやつだと思われている。
実際、軽くないと言えば嘘になるのだが・・
一方、真面目で成績優秀な副生徒会長の恵理はひょんなことから光秀と体の関係を持つようになる。

それはとても変わっていた。
普段は学校で顔を合わせても喋らず、お互いの事など何も分かっていない関係なのに。
それは、奇妙な「取り引き」だった。

お互いの欲望を満たすだけのもの・・最初はそうだった。

しかし、仲が悪くそりが合わなかった父の病気が発覚し、日に日に弱っていく姿を見て穏やかでなくなる光秀。
また、恵理は恋人と駆け落ちし、連絡もよこさなかった兄からの突然の呼び出しに驚きながら出向いた先で見た、兄の姿・・そして衝撃の事実・・

虚勢を張り、お互いがお互いを傷つける言葉や態度でしか接すことが出来なかった関係が、少しずつ変わり始めて・・

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それにしても、この長編小説は。
性的描写がキツイですね。

ただ、唯一の救いは作家が女性だったことでしょうか。
男の人が描く描写は、時たま現実味がないからなあ。

前回のBAD KIDSみたいな物語にずっと潜んでいた「切なさ」や「寂しさ」といったものはそこまで感じられなかったのだけど、最後に二人が変わっていけたのはとてもほっとしました。

それにしても、不思議で突拍子もない話だったなあ。

村山さんが描く登場人物たちは、妙に家に問題があったりする気がする。
何だかな。