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スローグッドバイ

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「涙を流さなくちゃ、始まらないことだってあるんだよ」。恋人にひどく傷つけられ、泣けなくなった女の子。彼女に青年の心は届くのか(「泣かない」)。上手に別れるため最後にいちばんの思い出の場所へいく。そんな「さよならデート」に出かけたふたりが見つけた答え―(「スローグッドバイ」)など普通の人たちの少しだけ特別な恋を綴った10篇。出会いから別れまでの一瞬一瞬をやさしく描く傑作短篇集-



泣かない
十五分
You look good to me
フリフリ
真珠のコップ
夢のキャッチャー
ローマンホリデイ
ハートレス
線のよろこび
スローグッドバイ

石田衣良さんの本です。
前回読んだ短編集とはまた違って、20代半ば~30代前半の主人公達の恋模様が描かれています。
石田衣良さんの描く恋は、男性作家特有のベタでキツい性描写とかはない。
いや、ない訳じゃないのだけど…
それは何処かからりとしている気がする。

例えば真珠のコップでは、コールガールと客の関係で出会った男女が描かれている。
しかしその部分は極めてさらっとしていて、心を通わせる様の方がぐっとくるのだ。

また、ハートレスではお互いの忙しさが理由で同棲中の彼氏と体の関係がない生活に不安を抱いた女性が描かれている。
何とか機会を作ろうと、様々な作戦を立てては失敗してしまう女性は、何だか可愛く思えてしまうから不思議である。

また、ローマンホリデイでは、掲示板で知り合った女性と会う事になった男性。
その相手の女性が、予想もしない相手だった…というような、恋愛のようなそうでないような…趣も味も違った沢山の温かい短編が収められている。

毎日時間がない人に一日一つずつでも読んでもらいたい心温まる一冊だ。