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イノセント

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やり手経営者と、カソリックの神父。美しい女性に惹き寄せられる、対照的な二人の男。儚さと自堕落さ、過去も未来も引き受けられるのは―。『ナラタージュ』『Red』を経て、島本理生がたどり着いた到達点。あふれる疾走感。

島本理生さんの本です。
 
今回は違うかな・・・?と思わせて、やっぱりいつもの性的虐待な展開は顕在。
最早島本さんの小説にはその設定がないものはないのではないだろうか・・・と思いながらも、美しい文章は相変わらず素晴らしく、函館の冬の情景が目に浮かぶようでした。
 
とびきり美人ではないのに、男好きする顔故に重ねてきた苦労と、一生沿い遂げていきたいと思った相手との別れ、そして残された子供一人を育てていくシングルマザーの主人公。
 
子供を抱えている、ということもあっていつもの堕落した感じの女性でもないんだけど、何でそっちはしっかりしているのに簡単に男に体を許すの??というよく分からない無防備さが混在していて、いつしか私もこいつ放っておけないわ・・・と思いながら読み進めていました。
 
そしていつものパターンでは主人公の相手となる男性陣がとにかくクソ野郎ばかりなんですが、今回は真っ当かと言われると悩む所ですが、根はまともな人達だったのが救い。
 
(ネタバレあり)
年上のやり手男性が、最後の最後に心を入れ替えて迎えに来てくれるラストは嬉しかったですね。
ただ今後一緒になっても苦労するんだろうな、という感じは否めないんだけど。。
 
神父が見返りがまるでないのに厄介者を引き受けたのは、これはこれで「愛」の形なのでしょうかね。。
 
不思議な余韻のある話でした。
(4点)