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おとぎのかけら 新釈西洋童話集

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本当に幸せなのは誰か? 現代のおとぎ話7篇
シンデレラ、白雪姫、みにくいアヒルの子など代表的西洋童話を現代日本に置き換えた短篇集。童話の結末に疑問を抱く著者が見つけた、それぞれのハッピーエンドとは? 泉鏡花文学賞受賞後第一作。


千早茜さんの本です。
 
今回は西洋童話をモチーフにした短編集です。
うーん、やっぱり上手い。
そして、エロティックで繊細で、脆くて儚げで・・・切なくて・・・。
良いなあ、千早さん、本当に良いなあ。
 
白雪姫
シンデレラ
マッチ売りの少女
いばら姫
 
をモチ―フにし、現代版にアレンジした作品集。
個人的に、ヘンゼルとグレーテルの何とも危なげな兄妹の絆と黒さ(デビュー作の「魚神」に近いものもあるかも)、シンデレラの何とも微笑ましいような満たされる感じ、マッチ売りの少女のエロティックで切ないもどかしいような気持ち、いばら姫の強そうに見せかけて脆くて、でも前を向いて行こうとしている潔さ、ハーメルンの笛吹き男の不穏な結末・・・・
全てにおいて、私の好みです。
 
そして余りある文章力の巧さ、物語の構成力、読みやすさは群を抜いています。
 
そしてエロティックな雰囲気が何とも甘美でたまりません。
 
他の西洋童話の話も読んでみたいなあと思わされた作品でした。