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ひぐらしふる

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夏の終わり、恋人との関係に迷いを抱えながら、祖母の葬儀に出席するために実家に帰省した、有馬千夏。地元の旧友とのとりとめもない会話から、千夏はかつて身の回りで起こった不思議な出来事を知る。誰も居ないさくらんぼ畑からの突き刺さる視線。衆目の面前で、手品のように消されてしまった婚約指輪。山奥の霊場で失踪した親子連れの観光客。山のてっぺんで、UFOに連れ去られた幼馴染……。はたして怪現象なのか、それとも、事件なのか。そして、千夏の目の前にたびたび現れる"自分そっくりの幻"の正体とは。最後の最後まで、二重三重のどんでん返しが待ち受ける、ひと夏の青春ミステリー。


彩坂美月さんの本です。
 
彩坂さんの二作目の作品だそうです。
以前読んだ二作と比べると、ちょっと最初とっつきにくかったかなあという感じ。
あ、でも本作は第18回鮎川哲也賞最終候補作品なのだそう。
作品としてはデビュー作よりも先に書かれたものなんですね。
というと、やはりこの読みにくさも仕方ないのかな。
 
それでも日常ミステリのどんでん返しはたまんないです。
思わずうならされて満足満足。
 
芋煮鍋やさくらんぼ、将棋の駒で有名なY県が舞台。
山形県出身という彩坂さんなので、地元をイメージしているのでしょう。
 
どうでもよい話なのですが、山形のさくらんぼは高級品で美味しそうなイメージが強いのですが、本作の中に毛虫が道の上を這っているのが季節恒例の風景らしく、通学の自転車が毛虫を踏みつぶしていく様が書かれていて、ぞっとしてしまいました。
 
地元を上から目線で見ながらも、その実愛着が込められているのが伝わってくるあたり、やはり辻村深月さんにますます似ているなあと思ってしまう。
特に「冷たい校舎の時は止まる」が好きな人は、男らしい女の子や優等生タイプの正統派頼れる男子などが出てくるので、完全に好みなのではないかなあ。
 
本当に至る所で辻村さんを連想させる部分があり、同一人物ですか?と思わされることも多々。
これは二作目ということもあって、少々文章が荒削り感もあるかなあという感じですが、やっぱり好きです。
 
今後も気になる作家さんです。