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虚夢

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「本当に“あの男”の姿をみつけたいのだろうか」
心神喪失」の通り魔犯に娘を殺された夫婦。4年後、街ですれ違った男は“あの男”だった。
謎解きだけでは終わらせない! 注目の作家

通り魔事件によって娘の命は奪われた。だが犯人は「心神喪失」状態であったとされ、罪に問われることはなかった。心に大きな傷を負った男は妻とも別れてしまう。そして事件から4年、元妻から突然、「あの男」を街で見たと告げられる。娘を殺めた男に近づこうとするが……。

薬丸岳さんの本です。

先日読んだ中山七里さんの本で、本当は健常者なのに減刑を狙って精神障碍者のふりをする容疑者の描写があったのだが、、図らずもそれがヒントになったような話でした。

なんの罪もない子供や多数の人間を傷つけた通り魔。
その犯人は心神喪失状態であったため、罪に問われることがなかった・・・

被害者側の視点と犯人側の視点とが入交じり、一体どこに怒りをぶつけていいのかという被害者側の憤りと、精神障害を本当に患っている人の底知れぬ辛さが伝わりすぎて、やりきれなさしか浮かんでこなかったです。

犯人が憎い、自分の手で敵を取りたいと思うのは被害者遺族の本音。
けれど「健常者」である被害者の遺族が敵を討ったら、罪に問われて服役することになる・・・
なんと理不尽、不可解すぎる・・・・

やりきれないという気持ちの中で、結末には少し希望が見いだせる様子だったのでほっとしてもいます。

薬丸さんの本は気が抜けない重いテーマが多いですが、今回もじっくり読ませていただきました。
(4点)