No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

刑事の怒り

イメージ 1



被害者と加害者、その家族たちの“想い”をみつめてきた刑事・夏目信人が出会う四つの事件。社会の歪みが生み出す不平等に、虚しさを抱えつつも懸命に前を向く人々。非力な彼らを餌食にする犯人を前に、刑事のまなざしが怒りに燃える。私たちが願うのは、被害者の幸せだけでいいのだろうか? 

薬丸岳さんの夏目刑事シリーズ。

こちらも短編集。
どの作品も考えさせられる話でした。

特に女性が性被害にあう話は、夏目刑事の言うことは分かるのだけれど、やはりそれは正論に過ぎず・・・同じ女性として素直にうなずくことができませんでした。

夏目の娘は少しずつ回復していくものの、まだ自力で生活するには程遠いレベル。
果たしてこれでも生きているといえるのか。娘にとってこれが良いことなのか。

それぞれの話を通して、それが自己満に過ぎないのか、それでも前を向いていくしかないと思うのかを読み手に語り掛けてくるようでした。

夏目夫妻の強さは一体どこからくるのだろう。
圧倒されました。

とても良い本でした。
(4.5点)