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青空と逃げる

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深夜の電話が、母と息子の日常を奪い去った。疑心、恐怖、そして怒り。壊れてしまった家族が、たどり着く場所は―。母の覚悟と、息子の決意。

辻村深月さんの本です。

四万十、家島、別府と各地を転々とし、何かから逃げている親子。

最初の四万十での日々が穏やかで、突然不穏な展開になることに、やはりタイトルの逃げるは関係しているのだと思いながら読み進めていく。

あまり現実味のない、というか大抵の人にはわからない理由で逃げているという点を除けば、子供を守ろうとする母の強さや、母を思う子供の優しさが伝わってくる話でした。

逃げるというと、色々な小説を読み過ぎてなんでこの理由でこんなに必死で逃げるのかしら、と思う部分はあったものの、その土地土地で出会う人々があまりにも親切な人ばかりなので、読んでいてその優しさが沁みます。

結末がどう転がっていくのか読めない中、真相が明かされると今までの不穏さが一掃され、きっとこの家族は大丈夫と感じる結末にほっとしました。

辻村さんはやっぱり不穏な展開でも最後にはハッピーエンド、という期待を裏切らないので安心して読めます。
(たまにそうならないものもありますが・笑)

(4点)