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噛みあわない会話と、ある過去について

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どうして「いじめ」てしまうんだろう。あれは「いじめ」だったのだろうか……。いまもっとも注目を集める作家、辻村深月の最新短編集!

辻村深月さんの本です。
 
直木賞を取った時からかなり有名になってしまいましたが、本屋大賞1位になって更に遠い存在の辻村さん。
 
図書館の予約もかなりのもので新刊もなかなか読めずにいます。
 
とはいえ、最近読んでいた本が軒並み温かい気持ちなれる系(?)だったので、すっかり油断しておりました。
 
辻村さんといえば・・・これよー!という、久々に胸をえぐられるような感覚が押し寄せてくる短編集でした。
 
後味が悪い作品はあるかもしれませんが、ここまでえぐってくるのは辻村さんならではですね。
 
今回の作品は、若い頃や小学生の頃など、ずっと昔に本人が無意識で言った「悪気のない」言葉が、言われた当事者にとっては傷であり、わだかまりとなって今もなお残っている、という怖さをこれでもかというくらいリアルに描いています。
 
本人はそんなこと言った?と思うような「無意識の悪意」。
けれど言われた側はずっと覚えていて、仕返しの機会を狙っていたのかもしれません。
 
人の悪意ほど怖いものはないな、と思う苦しくなるほどの話ばかりでした。
 
ずっと読んでみたかった「パッとしない子」と、「早穂とゆかり」が特に印象的。
(4点)