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万引き家族

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治と息子の祥太は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅりを見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀を含めた一家は、初枝の年金を頼りに生活していたが……。
監督:是枝裕和

見てからちょっと時間が経ってしまいました。感想を。
 
カンヌ最高賞を受賞したということで、公開前から話題になっていた本作。
是枝監督の作品は何気に映画が公開される度に観に行ってしまうので、今回もずっと見たいと思っていました。
 
訳ありの家族の話なのだろうな、とは思っていましたが・・・なるほどそういうことですか。
 
是枝監督といえば、やはり子供達の魅せ方が本当に上手い!
今回も「兄と妹」を演じた子役の子達が凄く良かったです!
 
この子達も訳ありの「兄妹」なんですけどね・・・
表情一つとっても凄い魅せるなあと。
 
また、まともに出演している作品を見たのは今回が初めてかもしれない安藤サクラさん。
何度泣かされたか分からないです。上手いなあこの人。
 
リリーフランキーさんや樹木さんは勿論ですが、今回かなりおっ!と思ったのは、松岡茉優さんかなあ。
 
何故あの子は今の仕事をしているのかとか結局よく分からない部分もあったものの、今までの役柄からは想像できない大胆なシーンもありましたね。

(ネタバレあり)
本当の家族から虐待されていた女の子。
 
自分の意思でこっちの「家族」と一緒にいる道を選んだ訳ですよね。
例え本物の家族でなかったとしても、初めておばあちゃんや両親、兄姉から愛情を受けて生活する、という経験をして、今までがおかしかったんだと初めて気付いたのかもしれません。
 
事件が発覚し、本物の家族の元に戻された女の子は、また一人になり、寂しそうに遊んでいます。
 
果たして今の方が幸せなのか、それとも偽物でもあの家族と一緒にいる生活の方が良かったのか。切ないです。
 
また、安藤サクラ演じる「母」が女の子が受けてきた虐待の数々を知り、悔しくて涙を流すシーンは、さながら本当の母親のようで涙を誘います。
 
そんなシーンの後に、過去に起こしたある事件やおばあちゃんの死を隠ぺいしようとする姿があまりに重ならず、恐ろしさすら感じます。
 
虐待をする親に対して憤りを覚える一面のある一方で、年金を不正受給するために死を隠ぺいすることも厭わない。その二面性がリアルでした。
 
また、「父親」が男の子が学校に行っていないことを正当化する嘘をついたり、万引きを仕事のように教えたり、嘘でも「親」代わりの人から教えられたことが正と思いこんでいた男の子が、駄菓子屋のおっちゃんの指摘をきっかけに、万引きは妹にさせてはいけないことなのか?と気付いてから、親の教えに疑問を持っていくまでの過程が凄くリアルでした。
 
結果、嘘が次々明らかになっていく中で、本当の親ではない、という事実を受け止めた男の子は、一つ成長したのかもしれないですね。切ないけれど・・・。
 
「家族」って何なのだろう。
一見「家族」のように見えた人達が、実は赤の他人だった、というのが真相ですが、虐待をする実の親と暮らすのと、血が繋がっていなくても家族のように暮らせる生活はどちらが幸せなのでしょう。
 
色々な事を考えさせられる話でした。
(4点)