7月のある日、「郵便」を発見したぼくの、胸がきゅんとするやりとり―(「郵便少年」森見登美彦)。映画の撮影用に借りた家に住むことになった映画監督の息子の夏(「フィルムの外」大島真寿美)。浪人2年目の夏、青春18きっぷを片手に出かけたあてのない逃避行―(「ささくれ紀行」藤谷治)。夏をテーマに大島真寿美、瀧羽麻子、藤谷治、森見登美彦、椰月美智子が競作。まぶしい日差しの中、きらきら光る刹那を切り取った物語。
アンソロジーは苦手と言いつつ、つい手にとってしまう私です。
夏休みの始まる前のワクワク感、終わる時の淋しさ。
こんなにも時期によって変わるものってないですよね。
夏をテーマにした作品ですが、どちらかというと夏の終わりの哀愁がある話が多かった印象。
特に一番良かったのは、藤谷治さん。
「船に乗れ!」のあの切ないような悲しいような感覚が蘇るような印象的な話でした。
瀧羽さん、椰月さんは安定の面白さ。
なかなか楽しめた作品でした。
(3.5点)