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一人反省会

あんなに緊張したのは、一体いつぶりのことだっただろうか・・・
翌日、一気に緩んだ緊張と共に、すっかりご無沙汰しつつも懐かしい下痢に襲われた私である。
(30を過ぎたあたりから急に体質が変わってお腹を壊さなくなったが、青春時代を共に過ごしたお腹の緩さの記憶は失われてはいない)
 
これは、恋人以上婚約者未満の彼氏の実家に初めて挨拶に伺った時の記録である。
 
正直、これからまさにご実家に挨拶に行くんです!という人には何のアドバイスにもならないとだけ言っておく。あしからず。

お付き合いしている人のご両親への挨拶。
 
それが「彼女」としてなのか、「結婚相手」としてなのか。
この線引きは非常に大きいと感じる。
 
まさに私はその微妙過ぎる立場故、立ちまわりに悩み、そして失敗するのである。

付き合ってまだ数ヶ月。
何となく話の流れで、お互いの家に挨拶に行くという話が出たのは何がきっかけだったか覚えていないが、まずこういうものは彼女の家→彼氏の家という順番が妥当だと思う。
(後にそう思った理由も記す)
 
しかしたまたま妹が3月末に子供と実家に帰る予定だ、と聞いていた私は、その予定に合わせて割と軽い乗りで「彼氏連れてくわー」と予定を決めた。
だが、彼氏の休みに合わせると、私の実家に行くより先に彼氏の実家に行くという予定になってしまったのである。
 
日にちが決まり、まず悩んだのは「手土産」。
 
訪問日であるXデーに合わせ、ありとあらゆる検索を始めた私は、①予算:3千円~5千円程度②洋菓子で日持ちのするものという所までを決める。
予算も、彼女として訪問するか、結婚挨拶で訪問するかによって若干予算間が異なってくるのだが、グレーゾーンの私はその中間を取って4千円程の予算を立てる事にした。
そしてお母様は甘いものがお好き、でもお父様はお酒の方がお好き、という情報を入手し、あまり数が多過ぎず、お母様が一人で食べるとしても日持ちがして一日一個くらい食べて行けば消化できそうなもの、という線で考えた。
 
1.地元のお菓子(有名なものでなくても話題に繋がるきっかけになるらしい)
2.話題のお菓子(流行に敏感な親だと喜ぶとか)
3.無難に老舗のお菓子
4.自分が美味しいと思っているお店のお菓子
 
などが喜ばれるらしいのだが、生憎と地元には美味しいというほどのお菓子も有名なお菓子もない。そして買いに行けないので却下。2はそんなに喜ばれなさそう、ならば3か4かと悩み、日持ちの点で洋菓子、そして自分がもらって嬉しかった美味しいお菓子を買う事に決めた。
 
しかし結局直前になって、そういえば私の住んでいる町にはTVでも放送されたとかで県でも5位以内に入るくらい有名なケーキ屋があることを思い出し、これは話題を作る意味でもいいかもしれない!と結局そこで焼き菓子を買う事にした。
 
実を言うとケーキは食べた事があったものの、焼き菓子は食べた事がなく、美味しいはず・・・!と思いながら店に行ったのだが、丁度良い焼き菓子詰め合わせセットが売り切れており、バラの焼き菓子を全種類買いこみ箱詰めをしてもらうことにした。
やたら箱が大きいうえに詰め方があまり上手くなかったのと、包装紙がないとか気になる点はあったが、結果的にこれは割と喜んでもらえた気がする。これだけは。

日にちが着々と近付くにつれ、あまりに緊張が強まり、よく眠れなくなってきた。
そしていよいよ当日。
 
1日の予定としては、以下の通り。
 
お昼前に駅に到着→ご両親の車で昼食(外食)→家で少し休憩を取り→彼氏と二人でその辺をぶらぶら→夕食を自宅で御馳走に→帰宅
 
なんと、最初から外食と自宅でご飯をご馳走になるという難関が待ち受けるスケジュールである。
初回なんだから、ちょっとお邪魔して挨拶して帰る、くらいの感じでいいんじゃないの!?と思い、気を使わせてしまうのではないか、とか申し訳ないから・・・とやんわり断ってみるも、ご飯を作るって張り切っていると言われては、もう何も言えねえ・・・!!
最初は泊まりという話だったのだから、それでも譲歩しているとはいえ、ご飯を食べるとか・・・!絶対粗相するに決まってるーー!!!と始まる前から絶望の淵に立たされた私であった。

お昼前の到着に合わせ、早めに起床。
しかしまさかの彼氏がお腹を壊したとかで1本後の電車に変更となるハプニング。
返ってゆっくり準備できるわ、と余裕をかまして駅まで歩く事にしたのだが、駅に着いたのは乗ろうとしていた電車の3分前!
 
もう本当に・・・乗り過ごすかと思った・・・・!
ギリギリに出たつもりは毛頭なかったはずなのに・・・!
 
教訓、
時間には余裕を持って行動!
 
この電車に乗れていなかったら、更にもう1本後の電車になっていたかと思うと恐ろしい。。
 
電車の中で彼氏と合流予定だったのに、最終的に合流できたのはそろそろ最寄駅に到着するというところで、とにかくテンパっていた事が伺える。
 
そしてとうとう到着。
ご両親が車で迎えに来てくれており、一体全体どういうタイミングで挨拶をしたら・・・?!とパニック状態だったものの、彼氏が私を紹介してくれたところで「すきま風と申します!よろしくお願いします!」と言って(あんまり記憶がない)、車に乗り込む。
何故か助手席と後部座席が空いている状態だったため(後で考えてみれば、上座を空けてくれていたということですよね。夕食の時も上座にご案内していただいて恐縮しきりでした)、いきなりお母様の隣に座る事になった私。
 
お母様は明るく、お話好きな感じの方で、緊張でろくに喋れない私にも「そんな緊張するようなことないからー」と朗らかに言ってくださる。
しかしとにかく緊張している私は「すみません」とか「いえ」とか「そうなんですね」「はい」とか受け身の答えしかできなかった。。

そしてお店に到着。
名物は年に数回食べるか食べないかの贅沢品。
好物である。
 
しかし美味しかったのか、最早味を思い出せない・・・!
緊張でお腹がまるで減っておらず、食べきらなければ、残してはいけない、という思いでただただ箸を動かすだけであった。
 
彼氏から私の基本情報は教えられていたようで、気を利かせて様々な話題を振ってくれるご両親。彼氏の幼少期の話や、地元の話など、話題も豊富に出してくれたのだが、相変わらず「そうなんですか」「へえ」「はい」とか、ただの受け身マシーンの如くろくな会話をすることができなかった。
 
また、自然にお会計ももっていただいたのだが、財布を出し払うそぶりは見せた方がいいとか、気持ち良く「ごちそうさまでした」と言えば良いとか、そういったマニュアルが頭をかすめるが、上手くできたか記憶がない・・・すごーくぎこちなく財布に手をかけつつ、御礼もちゃんと言えた気がしない・・・
 
既にHPが半分まで減った私は再び車に乗り込み、ご実家へ向かった。

ご実家は、大変立派な一軒家。
 
こたつに入ってゆっくりしていてください、というお言葉に甘え、「コーヒーで大丈夫ですか?」と言われた私は「コーヒーが苦手なんです」と答えた。
 
が、はっと見渡せば・・・私以外皆コーヒーやないかーい!!!!
 
超空気読めない私のためだけに、お茶を入れてくださるお母様。
着々とすり減るHP。
 
このタイミングでー?!という絶妙なタイミングでトイレに消える彼氏。
用意した手土産を渡すも、台詞がなんかおかしかった気がする(があまり記憶がない)。
 
お茶と手土産を広げて皆で食べた後、この辺にある見どころをお父様が教えてくれ、車で案内してもらうことに。
ここで一旦ご実家を離れ、彼氏と二人になったので束の間気を緩められた。
 
そして色々と見て回り、再びご実家に戻った。

夕飯時、既にダイニングテーブルにはご飯の用意が。
その間もお母様が忙しなくキッチンを行き来し、料理を用意してくれていた。
お父様はお風呂に入っており、部屋にはお母様と私と彼氏のみ。
 
ちょ・・・!このタイミングで・・・!?とまたトイレに消えた彼氏。
 
ここで「何かお手伝いすることはありませんか?」とか言うべき?
でもよそ者がキッチンに入ってくるとか結構嫌じゃない?!と悶々としつつ、座っていいのかどうすればいいのかとその場に立ち尽くす私。
忙しそうにしているお母様からも放置され、「何この生き地獄は・・・!」と絶望的な気分になるばかり。
 
結局彼氏が部屋に戻ってきた時に「これ手伝って」とちょっとした事をお願いしているのを見て、あーこれは手伝うって申し出るべきシーンだったのだわと更に落ち込んだ。
 
うちの母はキッチンに入ってきてほしくないタイプだけど、お母様は手伝った方が喜ぶタイプだったみたい(後になって小出しされた情報によると)。。
 
そしてお父様もお風呂から上がり、いよいよ夕ご飯の時間。
 
テーブルには旅館の夕食か?!と見まごう豪華なお料理の数々が・・・!
 
そして同時に、苦手な食材もちらほら。
 
残さず食べたいけどこれは無理だ・・・!と察すると同時に、お腹が減っていたはずなのに緊張で全然食べられない。
沢山美味しい料理を用意してくれていたのに、「美味しいです!」とかも言えてなくて、しかも残しまくるという申し訳ない結果に。
 
嘘でも美味しいです!!とか大げさに言えば良かったのに、と後で彼氏からダメ出しを受けるも最早遅し。
もうとにかく、空気でお腹が一杯で。。
会話も振ってくれるのに、こっちから質問したり話題を出す事も全っ然できなくて・・・
 
夕食の片づけも、お皿を運ぶところまでは手伝ったものの「大丈夫よー」という言葉に甘えて洗ったりもしていないし、もういたたまれないほどどうしたらいいのか分からなかった。
 
こういう時自然に「お手伝いします」とか「美味しかったです!!」とか元気良く言えるような子だったら良かったのに・・・・
 
最早立ちあがる気力も残っていないほどHPをすり減らし、腹が落ちつくまでと彼氏の部屋にお邪魔。
定番の卒業アルバムや昔の写真を見たりしていたのだが、ふと電車の時間を調べると・・・
丁度良い電車に間に合わず、まさかの50分後・・・!
 
その時点で20時半過ぎが確定し、超印象悪いのに遅くまでお邪魔しているとかもう最低か・・・!!と絶望的な気持ちに襲われた。
 
最後は駅まで歩いて帰るため、少し早めに出る事に。
 
バタバタながらも遅くまで申し訳ないということと、今日はありがとうございましたとお伝えし、「また来てくださいね」と社交辞令だと分かっているけれどありがたいお言葉をいただいて長い一日を終えたのだった。
 
もう二度と訪れる事はないかもしれない・・・・
 
一人反省会と彼氏からのダメ出しに立ちあがる事すらできないほどのダメージを受けながら、何と緊張した一日だったのかと思う。
 
例えばこれが、実家→彼氏の実家の流れであったなら。
 
これだけダメ出ししてくるくらいなら、お手本になるような対応をきっとしたのだろう彼氏の姿を参考にして対応できたはず。
 
例えば兄が結婚していたなら。
実家への挨拶に来た時のシーンを思い出して真似ができたはず・・・!
(妹の旦那さんが挨拶に来た時は、やっぱり男なので若干異なるのであまり参考にならず)
 
考えてもどうしようもないことを思いながら、とにかく長い長い一日に疲労困憊した私なのであった。

<教訓>
 
1.この時だけは彼氏の言う事は信じるな
 
「全然気がねしなくて良いから」とか「普段通りで大丈夫だよ」なんて言葉は嘘・・・!
ある程度は事前にご両親の情報を入手しておき、質問とか会話の想定はしておくべき。
(手土産はいらないとか言われても絶対持っていきましょう!)
 
2.緊張し過ぎはNG
 
緊張は相手にも伝播するもの。
過度な緊張は相手にも気を遣わせる原因になるだけ。リラックスー!(私は無理だった)
 
3.迷ったらまず行動
 
手伝わなくて良いのかな?迷惑かな?と悩んだり迷ったら、とにかく行動に移すべきだったと。
「お手伝いしましょうか?」くらい言えれば、何もしないよりは好印象だったのでは。。
 
 4.御礼、挨拶はしっかり
 
挨拶が苦手な私だけど、「美味しかった」とか「御馳走様でした」とかそういう基本的な事がちゃんと言えなかった気がする。
特にせっかく作ってくださった夕ご飯を御馳走になっているのに、リアクションしな過ぎた事は後悔しかない(味を覚えていないくらい緊張していたとはいえ・・・)
 
ここでご両親(特に彼ママ)の心証が良ければ、結婚への道も早まるんじゃなかろうか。
逆に印象が悪ければ、ダメになる可能性は格段に高まるかと。
 
後のフォローは、恋人以上婚約者未満の私のような立場では、彼氏によろしく伝えて!と頼み、彼氏づでに御礼を伝えてもらうのがベストかなと。
まだ身内になるかも分からないあくまで「他人」の位置づけなので、深く入り込み過ぎない絶妙な距離感は大事かもしれません。
 
後で聞いたところによると、お父様からは割と良い印象を持たれた様子(お母様からは・・・つまりはそういうことでしょう・・・・)。
 
果たしてもう一度訪れる日がくるのだろうかと考えると落ち込むので、今は実家挨拶の事だけを考えようと思う。実家だから、大分気が楽だ。
 
それにしても、全然タメにならない体験談。