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響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部へようこそ

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北宇治高校吹奏楽部は、過去には全国大会に出場したこともある強豪校だったが、顧問が変わってからは関西大会にも進めていない。しかし、新しく赴任した滝昇の厳しい指導のもと、生徒たちは着実に力をつけていった。実際はソロを巡っての争いや、勉強を優先し部活を辞める生徒も出てくるなど、波瀾万丈の毎日。そんななか、いよいよコンクールの日がやってくる―。少女たちの心の成長を描いた青春エンタメ小説。
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名前だけは聞いたことのある作品でしたが、アニメは見ていませんでした。

吹奏楽部出身ということもあるのですが、吹奏楽然りバンド然り、学生が音楽をするという話が実は凄く好きな私。
ユーフォの存在は勿論知っているし、これはそれなりに楽しめるのだろうなという軽い気持ちで読んでみる事に。

感想は、思いがけず、物凄くリアルでずっしりとした重みのある小説だったと思います。

表紙の感じやタイトルから、もう少しラフなノリの話なのかな?と思っていたのですが、全然そんなことはなかったです。

本の厚みの割に意外とページが進まないのは、文字数が多めで凄く丁寧に吹奏楽部を描写していることもあるのかもしれません。

特に、運動部出身の人からすれば、文化部なのに?と思うほど厳しい先輩後輩の上下関係。
吹奏楽部でそんなのあるの?とは思いません。
実際私の時もそうでしたから。

この物語の吹奏楽部は、全国を目指して練習に励んでいる訳ですが、主人公の中学時代に先輩より後輩の自分がソロに選ばれた、というだけで、理不尽な無視という目に遭うことになるのです。
しかも「お前先輩を差し置いていい気になってんじゃねえぞ」みたいな事まで言われ。

それが強豪校、特に女子校なんて事にもなれば、もっと厳しいのでしょう。

私は入部当時の希望がクラリネットだったのですが、希望者が多すぎて選ばれず、新入生がいなかったパーカッションに入ったものの、やっぱり嫌でフルートに転向しました。

そして最終的に、下手なのにパートの割り振りの関係で、希望せずにピッコロ(2nd)を担当する事になってしまったのです。

1年上の先輩は3名。
1stと2nd担当、ピッコロ担当で各1名。
コンクールで選択した曲がピッコロにも1st、2ndがあったため、フルートの2nd担当だった自分にお鉢が回ってきてしまったのでした。
同学年のめちゃくちゃ上手い子も、フルートに1stがいないとダメだからという理由で選ばれず(主張はしないけど私上手いのよ感を醸し出している自意識の強い子だったので、きっと内心は悔しかったのだろうと思います)、自分の運命を呪いました。

また、一部ソロもあるということで、絶望的な気持ちになったものです。
(このソロは、フルート1st、2nd、ピッコロ1st、2ndの同時ソロなので全く目立ちませんでしたが)

これが原因ではなかったのですが、理由も分からぬまま1年の中盤から先輩に無視されていた私は、とにかく気まずくて嫌で嫌で仕方がなかったのを思い出します。

本題に戻りますが、吹奏楽部のコンクールの結果は結構シビアです。
A部門、B部門、C部門と優秀賞、優良賞がありますが、A部門の方がレベルが高い。
そして地区大会で優秀賞を取っても、更にそこから選抜された学校しか県大会には進めません。

うろ覚えですが、1年生の時は3年生が練習を頑張っていて実力もある方々だったので、優秀賞は取っていたんですよね。
ただ、2年生が問題児で。そこそこ上手いが、練習もしないのにいばっている感じだったので、本番でソロに失敗して泣いていた先輩を冷めた目で見ていた自分を思い出しました。

主人公の中学時代に予選敗退して悔しいと泣く人とそんなに悔しいと思っていない自分との落差のシーンが冒頭に描かれていますが、まさに本気で全国を目指しているか、ゆるく楽しく合奏できればいいやと思っているかで全然違ってくると思うのです。
(私の場合、ゆるく楽しくに衰退していった結果、卒業後にはC部門に陥落したらしいです。部員数も少なかったようですし)

この高校ではゆるく楽しくといった感じから、目指せ全国に方針を変更したことで起こる、部内の不協和音とそれに反して成長する各々の楽器の技術と、演奏する楽しさを知り始める部員達が描かれているのがとてもリアルです。

先輩方のピンと張り詰めた見えない緊張の糸は、過去に何かもめごとがあった様子です。
顧問の先生の正体も判明したところで、今後この吹奏楽部が全国を目指し、どう変わっていくのか。楽しみな展開で1巻は終わりました。

思いがけず当時のちょっと辛い記憶までを呼び起こされるとは・・・!
続きを読みたいと思います。

それにしても、サファイアとは!究極のキラキラネームですね!
(4点)