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神の守り人 下 <帰還編>

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南北の対立を抱えるロタ王国。対立する氏族をまとめ改革を進めるために、怖ろしい〈力〉を秘めたアスラには大きな利用価値があった。異界から流れくる〈畏ろしき神〉とタルの民の秘密とは? そして王家と〈猟犬〉たちとの古き盟約とは? 自分の〈力〉を怖れながらも残酷な神へと近づいていくアスラの心と身体を、ついに〈猟犬〉の罠にはまったバルサは救えるのか?

上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズ。
下巻です。
 
「神様」の力を得たアスラが、少しずつその力を発揮することに快感を覚え始めつつ、アスラの兄のチキサやバルサがその力を使う事を良しとしない気持ち。そのことが抑制となり、戸惑い迷いながら自分の力と向き合うアスラ。
 
アスラがバルサに連れられて、昔バルサが用心棒をしたことがある夫人に優しくされた時に見せる、あどけない少女の顔。
もし特別な力もなく、タルの民として生まれない人生があったのならば、きっと「普通」のこんな生活を送っていたのだろう・・と思うと、運命というやつの残酷さを思わずにはいられません。
 
また、今回はバルサもついに力尽きるのか?!と思うような試練続きで、生傷が癒えてきたと思った頃には新たな傷を作るようなありさまで、読んでいてちょっとばかり痛々しかったです。
 
そして武等派のバルサとは反対に、呪術で参戦するタンダ。
今回はタンダの「優しさ」と人を信じる心の強さをとても感じる上下巻でした。
 
タンダとバルサは、やっぱり一緒になることはないのかなあ。
こんなにもお互いを大切に想いあっているのに、もどかしいです(笑)
 
(ネタバレあります)
そしてこの話で生死が定かではないシハナの末路。
目覚める事のなかったアスラがどうなったのか。気になるところですが、次の次の巻(最終シリーズ)でこの二人の名前があったので、またバルサ達と絡んでくるのでしょうか。
楽しみです。
(4.5点)